【麻生要一郎さんの、日々のごはん作りのヒントvol.5】毎日の料理は健康のバロメーター

麻生要一郎 スパゲティグラタン

家庭的で丁寧に作られたお弁当のケータリングが口コミで広がり、雑誌への料理・レシピの提供、食や暮らしについてエッセイなどを執筆するようになったという、料理家の麻生要一郎さん。

日常の食卓を切り取ったレシピと短いエッセイで綴る、2冊目となる著書『僕のいたわり飯』が話題です。心と身体をいたわることができるのは日々の食事。献立の役に立つレシピはもちろん、気持ちを穏やかにしてくれる食卓づくりのヒントが見つかる1冊です。
料理について、麻生さんに2回に渡ってお話を伺ったシリーズ最終回になります。


■旅館のように品数は多めが楽しい


ーー麻生さんといえばお弁当。家庭的なメニューが人気ですよね。

麻生要一郎さん(以下、麻生):新島で宿をやっていた頃、物流もよくなくてなかなか仕入れができなかったので、乾物をうまく活用しながら工夫して料理をするようになりました。お弁当は関東風の甘い卵焼き、そこにほぼ味付けは出汁のみの青菜とお揚げのおひたし、切り干し大根かひじき、唐揚げ、がんもどきか高野豆腐、魚、漬物、梅干し、茗荷の甘酢漬け、この構成がほぼ変わらずなんです。

麻生要一郎 僕の献立
初の著書『僕の献立』の表紙には、麻生さんのお弁当が。

ーーインスタグラムで毎日アップされる料理も、品数が多いですね。

麻生:母もいろいろなおかずをちょこちょこ並べていたし、旅館に行くとたくさん並んでいる。そういうのが楽しいかなと思っています。組み合わせもあまり気にしていなくて、グラタンと刺身も、家庭だからいいと思っています。考えてみれば、旅館だとそういう組み合わせもありますよね。

麻生要一郎 晩ごはん
麻生さんが毎日、「本日もお疲れ様でした!」という言葉と共にインスタグラムにアップしている晩ごはん。「写真をアップすることで、自分の心の中を整理できます」

ーー作り置きはあまりされないのですか?

麻生:日常のための常備菜はあまり作ることはなくて、毎回あるもので作っています。会社勤めをしていたら作り置きをすると思うけど、今のところは忙しくても台所を立つ時間はできているから、できるだけその日に作るのがいいなと思っているんです。宿をやっていたときも、できる限り日々フレッシュなきもちで、その日のために作るという自分のなかのこだわりみたいなものがありました。

ーー麻生さんにとっては、料理を時間も大切なんですね。

麻生:そうですね。朝はパンと果物、ヨーグルト、コーヒーくらいだから、きちんと作るのは夕食だけですが、料理をする時間はいろいろ忘れて集中して、リセットできる時間。そういう意味では1日の大事な時間ですね。もちろん作るのが嫌になるときもあるし、面倒くさいと思うこともしばしば。外食するのも楽しいけど、自分は家で食べた方が楽な感じがありますね。

麻生要一郎 朝食

■食べることが明日の活力に


ーー自炊することは、自分をいたわることに繋がっていますか?

麻生:母が亡くなった後しばらくは猫と2人暮らしで、誰かのためにではなく自分のためのごはんを作らなければいけなかったのですが、そのときも日々何かしらバランス良くは作っていました。「これでいいや」っていい加減にしてしまうと、自分が傷つく感じがあって、ちゃんと生きていくためには作らなくちゃという思いがあったと思います。

麻生要一郎 酵素シロップ
季節の果物を使った酵素シロップは、麻生さんの養生メニューのひとつ。
麻生要一郎 小豆茶
小豆を茹でた煮汁を飲むと、身も心もほっとするそう。
麻生要一郎 りんご
素朴な味わいの「キャラメルりんご」は、思い出のおやつ。
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これを食べると元気になれるとか、落ち込んだときはこれを食べるみたいなものを自分で分かっていたらいいと思うんです。これまで周りの人がたくさん病気になっているから、できるだけ病院の世話にならず、自然に生きていきたいと心がけています。

ーー元気がでないときに食べるものは、『僕のいたわり飯』にも載っていますね。

麻生:そういうときは身体が温まる汁物や、甘いものを食べます。自分が作ったものを食べると、疲れているとかちょっと変化に気づける感じがしますね。

料理がもし苦手な人がいたら、楽しいと思わないと続かないから、自分の好きな食材を使って好きな味の汁物をひとつ、とりあえず作ってみることが大事だと思います。

僕はいつも、その日頭に浮かんだものを作るようにしていて。食べたいと思ったものは気候や気分を含んで思いついているはずだから、それを食べることによって「明日も頑張ろう」って、食べることが明日への活力になると思うんです。

麻生要一郎 著者
麻生さんがパートナーと営む、青山にある「HADEN BOOKS:(ヘイデンブックス)」にて。

ーー麻生さんにとって料理とは?

麻生:自分と誰かを繋いでくれるものだといつも考えています。料理は映えるもののような風潮もあり、どんどんエンターテインメントの方に寄っていて、日本の文化やいわゆる家庭料理とは遠い世界に進んでいるように感じます。家庭の料理は、洋食店のオムレツのように美しさが大切なのではなく、少し焦げていたり、味わいがあった方がいいなと思っているんです。だから自分の料理も癖のようなものを大事にしたいと思いますね。

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撮影/山田薫
聞き手/赤木真弓

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