〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーのKayoさんこと重盛佳世さん。38歳で会社を辞め、直感に導かれるままイギリス留学を決めました。その後、英会話の本が大ヒットという人生の大転換をアラフォーで経験しました。
今回は父のある提案で、ひょんなことから執筆をしながらコンシェルジュ業に就いた際のお話を伺いました。
40代にしばらくイギリスに滞在していた私ですが、50代を目前に(東京オリンピックもあることだしと)、東京に拠点を戻すことに。久しぶりの東京暮らし。以前は都心に住んでいましたが、執筆業を中心に考えていた私は、少し郊外に住むことに。高台で見晴らしが良く、多くの光が差し込む新居。執筆にはうってつけの環境です。
当時の私はイギリスの田舎町を巡って貯めた資料をまとめて、オリジナルのガイドブックを作っていました。日々の生活といえば、朝から晩までPCの前。頭の中は終始イギリスの美しい街並み…、居心地の良い空間で好きなことに向き合える幸せな時間…、と、引越し早々執筆に没頭し、気づけばあっという間に3ヶ月が経過していました。その間、家から出るのはゴミ出しと近所のスーパーへの買い出しのみ、完全たる引きこもりでした。(コロナ以前のこの時すでにスティ・ホームを実施)
父親の一言で気付かされました
ある日、上京した父親と食事をすることになり、久しぶりに都心へ。いつもの場所で待ち合わせた父から衝撃の一言!
「ずいぶん老けたなぁ~」
そうなんです、引越ししてからというものひとりの世界に閉じこもり、好きなことをやって、自分自身はハッピーだったものの、誰とも会わず、話さずの数カ月。社会から孤立して、おまけに資料やPCに向き合う「終始下を向いた生活」……、アラフィフの私の顔は完全に垂れ下がってしまったのでした。
そういえば、あまりにも作業に集中していて、自分の顔をろくに気にしない生活を送っていました。そりゃぁ、顔の筋肉も落ちるさ!って。
こんな時の家族の正直なコメントは残酷ですが有難いものです。
「どこのオバちゃんが手を振っているのかと思ったら、自分の娘だったよ(苦笑)。」「好きなことをするのもいいけど、ほどほどにしないと」と、父の嘆きは続く……。
改めてトイレの洗面所で自分の顔を見てみると、確かに父親の言う通り。私も「このままではいけない!」と急に焦り始めました。
その時、父には、自分の正直な気持ちを伝えました。できればこのままずっと引きこもっていたい。でも世の中からどんどん置いていかれるのも怖い。そして、老けていくのも嫌だ…etc。すると父がひと言、
「バイトをしてみるのはどう?そんなに拘束されることもなく、執筆をしながら社会とも繋がれるじゃん!」と。
思っていなかった「アルバイト」の選択肢
翌日、早速ネットで検索。アルバイトは大学生以来のことです。様々な職種を目にしましたが、私が求めたのは、執筆とは無関係で、(“仕事頭”を家に持ち帰らない)その現場限りで完結する仕事。そして、最終的に行きついたのが、『英語が活かせ、自分の駅の路線、高収入』の3条件。それらを入れたとたんに、ヒットしたのが現在のコンシェルジュの仕事です。外国人も多く滞在する施設で、入居者の要望に応えるのが主たる業務。
まずは試しに応募してみようとボタンをポチっと。そして一息つこうとお茶を飲んでいたら、知らない番号から電話。なんと、今しがた応募した会社からでした。人事の方が仕事内容を簡単に説明してくれて、「興味を持たれたのなら、明日、面接しましょう!」と。展開の早さに驚きつつ、翌日の面接に備えます。
そこからが大変でした。履歴書って、どこに売っているんだっけ?近所に文房具店はないし……。(なんせ履歴書は大学生以来で忘れている)「そうだ、コンビニにあるかも?」と小雨降るなか、近所のコンビニへ。証明写真は、もう外に出る元気がない私は、自撮りして、それをパソコンに取り込んで作成。(もちろん、垂れ下がった顔を少し修正しました・笑) その後、夜中までかかって履歴書と職歴書を作成。資格ゼロ、仕事経験は豊富なアラフィフの履歴書の完成です!
いざ面接を行うと…
超久しぶりの面接に臨み、執筆とはちがう環境で、社会との繋がりがもてるこの仕事をしたいことを伝えました。結果の通知は1週間後とのこと。
そんなこんなで、「バイト検索」から「履歴書作成」→「面接」と目まぐるしい2日間を終えた私は、緊張から解放され、自分のところの駅に着いた時には憔悴していました。そして、「今夜は何食べようかなぁ~」と近所のスーパーで買い物をしていると、1本の電話。なんと、めでたく採用とのこと!
「あっ、ありがとうございます!」とスーパーの中でお辞儀をする私。なんだろう、こんな感覚は久しぶり。採用してもらえるって、こんなに嬉しいものなのかと。久しぶりに社会との繋がりを感じました。
かくして、私の第2の仕事「コンシェルジュ業」は、このようにあれよあれよと決まっていったのでありました。前回のイギリスの時と同様、今回もこの新しい世界に導かれるようにスムーズに進んで行ったのでありました。
それからは、緊張や失敗を繰り返しながら仕事に慣れていき、気が付けば、もう4年!執筆という引きこもりを解消するために始めたバイト業ですが、その後、私に様々な刺激や出会いを与えてくれました。人に尽くすという仕事はやっていて楽しい♪学ぶことも多々。お陰様で今でも執筆業と並行して続けております。
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◎コロナ禍で2年近くも会えていない母へ。 シルバーカーにはレインコートが必需品! 【2021年買ってよかった】
◎イギリスの美しい田舎町・カンタベリーに魅了されて…。イギリス・ケント州カンタベリーのガイドブックづくり。