【私のこれから】美容家・吉川千明さん。大人の女性特有の悩みに寄り添う。美しく健康になることの手助けをしていきたい。

美容家・吉川千明

植物美容のエキスパートとして、また女性の更年期ケアのスペシャリストとして活動する美容家兼、オーガニックスペシャリスト・吉川千明さん、その原動力とは。


吉川千明さん 美容家
悩んでる人の手助けを、美容を通じてしたいのです。


吉川千明さんの更年期はかなりつらく、ハードな10年でした。

「出口が見えなくて、気持ちは落ち込むし。ホットフラッシュ以外のあらゆる症状が出た感じ。美容の会社を経営していたので、人前では元気に明るくしていたけれど、心も体も不安定で」

そんなときに診療してもらった婦人科医の対馬ルリ子さんと通じ合い、 2002年に始めたのが、女性の体に ついて考える健康講座「女性ホルモン塾」です。

さまざまな講師を招いて、大人の女性に特有の悩みや問題を共に考え、解決のヒントを探ってきました。体の仕組みを知ってほしい、知ることで解決できる問題がたくさんあることを伝えたいというのがその趣旨。

「みなさん、自分の体のことを意外に知らなくて。閉経前の5 年、閉経後の5年、そこで女性に起こることはそれまでの人生にないことなんです。自律神経が揺さぶられて、疲れやすいし、私がそうだったように、さまざまな不調に見舞わ れることが多いのです」

閉経を経て、暗いトンネルを抜けた感じ。

閉経後は「暗いトンネルを抜けて、 広々した道に出て、視界も開けた感じ。体は以前よりは弱くなるところがあるかもしれないけれど、落ち着いて、苦しんだことを忘れてしまうくらいです」

オーガニック化粧品の普及、紹介に長年つとめてきた吉川さん。その経験 と人脈、「女性ホルモン塾」を通じて得た知識を生かして、女性たちが美しく健康になることの手助けをすることが人生後半の使命、と言い切ります。

もう必要がないことをする時間はない。

「4年前に相次いで父母を亡くし、残念だけれど、人は死ぬんだ、人生には 限りがあるんだと実感しました。還暦を過ぎたし、もう必要がないことをする時間はない。悩んでいる人に美容を通じてアドバイスすることが私のやりたいこと、と思ったの」 とほほ笑むお肌は普段のお手入れ、 健康への心遣いの甲斐あって、ぴかぴか。

笑顔が周囲を明るく照らします。
「きれいにして、可愛い気持ちを持つことは大事だって思います。元気なおばあさんは、みんなちゃんとお化粧している、それが私の持論。ちょっとお化粧してきれいになった自分、そこから人生は変わっていくんだと思います」

『ku:nel』2020年7月号掲載

写真/三東サイ、取材・文/船山直子

●人生後半戦の生き方に向き合う、シリーズ『私のこれから』
料理研究家・枝元なほみ。直感と本能を信じ、料理と共に生きる道。
精神科医・香山リカさん。「人生後半の2回戦は、もっとわがままに」
作家・篠田節子さん。介護と病の経験を経た、自身の人生観とは。
バイヤー・土器典美さん。アンティークショップやギャラリーを経て長年考えてきた人生のかたち。

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