ジュリアン・ムーア演じる“普通のバツイチ女性”がくれた生き方のヒント 等身大な大人の恋愛を描く『グロリア 永遠の青春』

ジュリアン・ムーア

『ナチュラルウーマン』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したセバスティアン・レリオ監督の『グロリアの青春』をリメイクした『グロリア 永遠の青春』を観てきました! 「いくつになっても、人生は輝くことができる──」。そんな希望を持たせてくれる、大人の青春映画です。

主人公・グロリアを演じるのは『アリスのままで』でアカデミー賞主演女優賞に輝いたジュリアン・ムーア。そんなジュリアンが、セバスティアン監督の『グロリアの青春』に惚れ込んでリメイクを熱望し、監督がセルフリメイクしたのがこの『グロリア 永遠の青春』なのです。

主人公はアラフィフのバツイチ女性

離婚も子育ても乗り越えた人生を生きるアラフィフ女性・グロリア。仕事や家族関係にまつわる様々なしがらみに悩みつつも、時に奔放に、自由に大人の恋を楽しむ姿が描かれていきます。

物語はある種平凡な、グロリアの毎日を綴っていきます。離婚しても子供との関わりを持ち、別居中の母親とのランチを楽しんだり、夜の街に繰り出したり。

見どころは、等身大なグロリアの生き様。物語はクラブ遊びを楽しむシーンから始まり、グロリアが年齢を重ねても人生を楽しもうとする姿、女性らしくあろうとする姿が丁寧に描かれていて、私もこんな風に人生を送りたいな、と感じるシーンもしばしば。

グロリア 永遠の青春 場面写真
夜遊びやダンスは、グロリアのささやかなストレス発散タイム

でも、人生っていつも上手くいくわけじゃない。クラブで出会ったバツイチ男性アーノルド(ジョン・タトゥーロ)との運命の恋が始まっても、自分と相手の双方に家族」や「仕事」にまつわるセンシティブな問題があることも徐々に明らかになっていきます。

アーノルドは元妻やアラサーの娘たちとの切っても切れない関係に悩まされ、娘たちからの電話に出ずにはいられないアーノルドの横で、上手く笑顔を作れないグロリア。くっついたり離れたりを繰り返す2人を見ていると、胸が痛くなる瞬間もあります。やっぱり大人には、若いときにはなかった悩みがあるんですよね。

グロリア 永遠の青春 場面写真
彼氏との恋愛が上手く行かない時は、夜の街に繰り出しちゃう

一筋縄ではいかない大人の恋愛

恋ってハッピーな瞬間もあるけど、恋をしているからこそつらいことだってある。グロリアは決してモテモテな女性ではないのかもしれませんが、等身大の姿で恋をします。でも、そんなしがらみにも負けず、時に自制心を持った大人として口をつぐみ、時に感情を爆発させるグロリアの真っ直ぐさには、なんだか胸を打たれます。恋をして、ベッドインして、時に喧嘩して、電話を無視して……。大人になると忘れてしまうけれど「そういえば、恋ってこんなものだったなあ」という懐かしさも覚えます。物語はよくある恋の情景と、大人ならではの心情を繊細に映しながら進んでいきます。

グロリアはいつだって大人で強い女性、というわけでもありません。恋に心折れ、悲しくなってしまったシーンでは、母に頼るグロリアの姿も。自身の母の前ではどこか、親離れできない娘らしさがただよいます。その一方で、結婚で遠方に引っ越してしまう自身の娘の前でも、子離れできない母の愛のようなものを感じさせます。自立して自分で稼ぎ、人生を楽しもうとしているグロリアだって、かよわい女性らしさをうちに秘めています。

グロリア 永遠の青春 場面写真
母の前では、弱い部分もさらけ出せる

そんなある種「よくいる」マチュアな女性の恋の仕方やセリフの選び方、ストレス発散の仕方……。彼女の生き様を見ていると、毎日を楽しく過ごすヒントがたくさんもらえるような気がしてきます。アッパーなポップチューンを口ずさみながら運転したり、ストレスが溜まった日は、やめたはずのタバコに手を出してみちゃったり。グロリアより年齢が下の人から見れば「大人になること」に対して身構えなくていいいんだ、という一種のなんだか安心感があって、グロリアと似たような経歴を持つ人が見れば、きっと「あるある(笑)」と共感が生まれるのではないかと思います。

グロリア 永遠の青春 場面写真
夜遊びから目覚めたら……ここはどこ? そんな経験、あなたにもありませんか

70年代〜80年代の音楽が懐かしい!

また、映画の節々に散りばめられた70年代〜80年代のヒットソングたちも見どころの一つ。Laura Branniganの『Gloria』、『Never can say goodbye』。そしてEarth, Wind & Fireの『September』など往年のクラブ・ミュージックや、映画の予告にも使われているJohn Paul Young『Love is in the air』などのポップチューンたち。今聴いてもテンションが上がるし、映画に漂う青春のセンチメンタル感、刹那感のような感情ともフィットします。

『人生の春』を楽しむグロリアの恋は、果たしてどうなるのでしょうか。まさに人生のごとく、映画は笑いあり、泣きありの物語でした。ただ一つ言えるのは「◯歳になったら」なんて固定概念は、もしかしたらグロリアにはないのかもしれません。いくつになったって人生は楽しいし、恋だってできる。そして誰にでも大変なことはあるし、恋には障害もある。でも、してはいけないことなんてないんだと、そんなことを思わせてくれる素敵な映画でした。

グロリア 永遠の青春 場面写真
人生経験が豊かな女性ならではの悩み、そして喜び……「あるある」となること請け合いです

『グロリア 永遠の青春』はキノシネマ他、全国で順次公開。働き、恋をし、人生に悩むすべての女性に見てほしい映画です。

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