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世界的現代美術家森村泰昌が、新作展覧会で明治期の天才画家とセッション。同時開催の印象派展も豪華なラインナップ 〜2022年1月10日

アーティゾン美術館 森村泰昌

古代美術から印象派、日本の近世美術、日本近代洋画、20世紀美術、現代美術まで、美術史上貴重とされる国内外の作品を数多く収蔵する石橋財団アーティゾン美術館。2020年に東京・京橋に開館して以来、「豪華な展示作品を洗練された空間構成の中で堪能できる」と注目を集め続けています。

10月からは、絵画や写真に表された人物に自らが「なる」セルフ・ポートレイトを展開する森村泰昌さんが同館のコレクションからインスピレーションを得てセッションする新作展覧会「ジャム・セッション M式『海の幸』—森村泰昌 ワタシガタリの神話」を開催中。また3フロアにわたる展示室を活かし、同展と同時に、モネやルノワールなど印象派の画家たちの人間関係にフォーカスを当てた「石橋財団コレクション選 印象派—画家たちの友情物語」ほかも開催されています。

森村泰昌さんは、1985年にゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト写真を発表して以降、今日に至るまで、古今東西の絵画や写真に表された人物に変装し、独自の解釈を加えて再現する「自画像的作品」をテーマに制作し続けている現代美術家です。

アーティゾン美術館 森村泰昌
会場風景。円環構造の空間デザインで、時代の変遷を表現する。

今回の「ジャム・セッション M式『海の幸』—森村泰昌 ワタシガタリの神話」では、明治期の天才画家・青木繁とセッションしています。展覧会は、コレクションより青木作品約10点と、18分30秒の映像を含む森村さんの作品約60点で構成され、うち50点以上は今回のためにつくった新作というから驚き。コロナ禍でアトリエに篭り、メイク、撮影まですべて一人で行ったそうで、会場には実際の衣装やジオラマ、各作品のための習作が展示され、変装と撮影の様子をアトリエに設置した監視カメラでとらえた映像作品も見ることができます。

アーティゾン美術館
森村泰昌《「ワタシ」が「わたし」を監視する》展示風景 
アーティゾン美術館
M式「海の幸」のための衣装資料

しかし一番の見どころは、海を舞台に描かれた青木の代表作《海の幸》を、“森村式”略して“M式”「海の幸」として再構築したという10点の連作。十人の人物が銛や巨大なサメを担ぎ、波打ち際を勇壮に行進する様子を描いた青木の《海の幸》をベースに、森村さんは、大阪万博やギャル文化、今日のパンデミックなど、日本の歴史変遷もキャッチーに織り交ぜながら、総勢85人の多種多様な登場人物となって連作に登場します。「今回の展覧会がめざすのは、青木の《海の幸》を発端としてはじめられた、私なりの時間旅行を作品化することである」(*1)━━そんな森村さんの言葉通り、私たちは展覧会を進みながらまるで縦横無尽に過去・現在・未来を旅するような感覚に導かれていきます。さらに、奥には青木繁に扮した森村さんによる映像作品《ワタシガタリの神話》の展示があり、本展を読み解く鍵となっています。

*1 本展図録 p.13

以前にはゴッホやレンブラント、セザンヌの名作にも扮してきた森村さん。描かれた人物に扮するという独自のスタイルについてこう語ります。「私が求めていたのは、特定の画家への傾倒ではなく、さまざまな画家たちをとおして共通に感じとれる、なんというか『画家に住まう神様』との、優しくもあり厳しくもある特別な出会いなのであった」。今回の展覧会では、明治期を駆け抜けた「青木繁」と、世界のアートシーンを牽引し続ける「森村泰昌」という2層のフィルターを通じて「画家に住まう神様」を目撃する、ほかにない観賞体験が待っています。

森村泰昌《M式「海の幸」第1番:假象の創造》2021年 
森村泰昌《M式「海の幸」第1番:假象の創造》2021年 作家蔵
森村泰昌《M式「海の幸」第7番:復活の日2》2021年 作家蔵
森村泰昌《M式「海の幸」第7番:復活の日2》2021年 作家蔵
アーティゾン美術館 森村泰昌
作家近影

同時開催は「石橋財団コレクション選 印象派—画家たちの友情物語」!夫婦愛や友情、ライバル心……名画から美しい絆を読み解き、より豊かな鑑賞体験に。

 メアリー・カサット《日光浴(浴後)》
メアリー・カサット《日光浴(浴後)》1901年 石橋財団アーティゾン美術館蔵

現在アーティゾン美術館では、3フロアにわたる展示エリアを活かし、森村泰昌展と並行して「石橋財団コレクション選 印象派—画家たちの友情物語」も開催中。 ここでは、光や空気感をとらえようとした印象派の美しい色彩とタッチはもちろん、印象派の名品の背景にあった「画家たちの絆」にフォーカスを当ててみるのもひとつ、豊かな鑑賞体験として示されています。

セザンヌは、若い頃はピサロとキャンバスを並べて制作するなどまるで彼を父のように慕い、またルノワールにもカイユボットの遺言執行人として奔走したという熱いエピソードがあります。19世紀フランスで活動した印象派の画家たちは、こうして互いに親しく交流していました。

2020年に開館したアーティゾン美術館は、コレクションの幅を広げ続けていますが、前身であるブリヂストン美術館でも、印象派の絵画はコレクションの中心のひとつでした。アーティゾン美術館としての開館に際して従来のコレクションを一層充実させるため、モリゾやカサット、ブラックモン、ゴンザレスなど数々の印象派の新収蔵作品が仲間入りすることになったといいます。その特質を生かした同展は、画家たちの「友情物語」を手がかりに、新収蔵された印象派の名品を堪能できる貴重な機会となっています。

この週末は、充実のラインナップで展開しているアーティゾン美術館へ足を運んでみてはいかがでしょう?

Photo: Yu Inohara Text: Mami Hidaka

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