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【モノとコトをつなぐ由布院温泉の旅②箸屋一膳】手になじみ日々の食事を支える箸を選びに。

由布院 2

山々に囲まれた由布院温泉。この地で育ち、さまざまな事情で切られざるを得なくなった木が見事に生まれ変わり、人々の食卓を彩る一膳に。手をかけ、美しい箸へと仕上げる箸職人の工房を訪ねました。

 

【モノとコトをつなぐ由布院温泉の旅①蛟龍窯】日常の名品、軽くて丈夫な焼き物の産地を訪ねて。からの続きです。

自然豊かなこの盆地には、見渡す限りたくさんの木々に囲まれています。この由布院の風景や環境を守るためには間伐も必要。切らざるを得ない木たちにもう一度命を吹き込むのは、西原慎一郎 さんの手作り箸の店『箸屋一膳』です。

由布院 
由布院の山々を彩る木たちが、箸に生まれ変わります。

由布院に育つ木のうち、桜、欅、櫟、栗など約30種類、さらに、大きく育ちすぎた庭木の柚などが西原さんのもとにやってきます。 「柑橘類の木は、ちょっと黄色味がかっているんです。その色をそのまま生かして乾かすのは結構大変で…」と話す西原さん。

箸の原型は丸太から。それを半割、四つ割、さらに板の状態にして、4年ほど乾かします。「木によって寝かせる時間はさまざま。たとえば、欅はとても繊細なので、4年寝かせても使えるのが3割残るか残らないか。また、季節や温度の変化で変色してしまうので、箸に適した木材を見極める頃合いがポイントなんです」

由布院の環境を守るために山から間引いた間伐材なども西原さんのもとに運ばれてきます。

板の状態にして約4年乾かします。

楢、槐、欅、栗…、由布院で育った木は30種類以上にもなりました。

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もともと木が好きで木工の修業をされていたという西原さんは、福岡からこの由布院にやってきた移住者の一人。約17年前、 由布院温泉観光協会が木工職人を募集していることをきっかけに由布に住み、12年前に独立。 切られた木の有効利用に適した箸作りをスタートさせたそう。
「最初は、人それぞれ持ちやすさが違うことを伝えたくて“オーダーメイド箸”からはじめました。標準の四角箸から、八角箸、くぼんだ形状の箸など、さまざまな形状の箸を作っていたら、これだけの形状を揃えられる店は珍しい、と。今では、さまざまな材と形状が選べる唯一の箸屋として知ってもらえるようになりました」

箸先にサンドペーパーをかけて丸みをつける作業は、0.1ミリ単位で整える手仕事です。

全体に角がなくなり、箸先の丸みも美しく整っています。これがすべて手仕事とは。無垢な木の表情も見てとれます。上から、梅、樫、みかん。

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一枚の板を角材にしてからが、いよいよ木と対峙する時間。 サンドペーパーで表面を磨き、角を落とし、少し丸みをつけていきます。箸の先端は親指を使って整えるそうですが、これがとても繊細な仕事だと西原さんは言います。
「親指の細かい動きで研ぐからなのか、親指の付け根の筋肉が妙に発達しているんですよ(笑)」
磨いた後の塗装は、なんと7回。すべての工程が持ちやすさ、使いやすさを追求した結果の賜物です。
「コロナの影響もあってなのか、最近はメンテナンスを希望されるお客さんが増えたんですよね。毎日使う箸に愛着を持ってくれている、ということですから。“道具を大事にする”という価値観が広がることは、とても嬉しいことです」

由布院

『箸屋一膳』では、「お箸作り体験」ができます。由布院で育った桜の木から小刀やサンドペーパーを使って自分だけのお箸を作れます。完成後はコーティングを施し約2週間後にお手元へ。約2時間2,750円+送料220円。

撮影・文/神保亜紀子

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