【松永加奈のフランス便り32】トラブルと隣り合わせ、素敵だけど大変なパリの住宅事情。

松永加奈 パリの住宅事情

在パリ<クウネル・サロン>メンバーの松永加奈さんは、現在お引越し準備真っ最中。新築物件はほぼ皆無というパリの住宅のなかで、できる限り快適で「近代的」な住まいを見つけようと、家探しをしているそうです。日本とはちがう不動産事情、興味深いですね。

突然ですが、引越すことになりました(とはいえパリ市内ですが)。我が家のオーナーは2年前から部屋を売りに出していて、内見者がたくさん来ていたもののなかなか決まらず「パリ在住の間はこのまま住み続けられるかも?」とタカを括っていたところに急展開。1か月以内に次の家を見つけ、引越さなければならないという状況に…。そんなわけで、急遽、家探しをしました。

パリのアパートというと「クラシカルで雰囲気があって素敵」と思われがちですが、実際に住むとなると、建物はトラブルだらけ。基本的な設備が”問題なく”機能する日本の住宅事情とは全く異なります。というのも、パリには「新築物件」はほぼ皆無で、1960~70年代に建てられたものが「近代建築」と呼ばれる最新クラス。築100年はごく一般的、16世紀の建造物もまだまだ現役です。歴史的価値はありますが、当然内部は古いまま。修復や補填など定期的にメンテナンスされていても、ゼロからの建て直しではないため、あちこちがボロボロなのです。

1階は店舗というアパートが多く、特に飲食店が入っていると…アレが現れるんですよねー。あまりに数が多すぎて、ねずみバスターズも追いつかず。

カーブと呼ばれる地下の物置。こちらは「近代建築」で個室も分かれていますが、古いアパートでは暗くてじめじめした洞穴同然のところも。

築100年以上は当たり前。パリの物件は古いほど価値が上がり、故障や破損率も上がります…。古民家を維持するのは大変なのです。

螺旋階段の真ん中にエレベーターを後付けするので、階段の手すりがあんなところに!中は狭く大人2人でほぼぱんぱん。でも、あるだけマシです。

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そういった中でよく起きるのが、天井や壁からの「水漏れ」。大抵、老朽化したパイプが原因です。責任の押し付け合いで揉めることもしょっちゅうで、これは「パリのアパートのオプション」とみんなが諦めているほど。また、換気が悪く、湿気で壁紙や塗装が剥がれ、カビが出やすいのも困りもの。地下にゴミ捨て場があるのでねずみの出現率も高いです。さらに、水回りや建具、電気類など、プロが直しに来ているはずなのに、どういうわけかまたすぐ壊れてしまうという…もしかしてこれが最大の問題?

屋根にずらりと並ぶ煙突。かつて使用人部屋だった屋根裏は、現在どこもリフォームされ1室として使われています。最上階なので見晴らしも◎。

エレベーターなし、あっても狭い、廊下も狭い…となると引越しに活用されるのがはしご車。見るたびに荷物が落ちないかちょっとどきどき。

ちょっと歩けば工事にぶつかる、というくらいどこもかしこもお直し中。外壁の塗り直しと修繕はよく見られる光景です。

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古い建物が集まったパリの街は、いつもどこかが工事中。そのおかげで、断水や停電もよくあり、告知なしに水が止まると頭を抱えるほかなし。また、大がかりなリノベーションで、建物が揺れるほどの振動と騒音が何日も続いたり、エレベーター工事が遅々として進まず「永久に終わらないかも?」と思いながら階段生活をしたり…こんな感じで、常にトラブルが巡ってくるのが、パリのアパート暮らしです。

友人宅のリフォーム中の様子。配管などの専門分野以外はDIYで。集合住宅(アパート)なので、もちろん壁の中のパイプは古いまま(そこが問題)。

システムキッチンと壁のタイルで素敵に生まれ変わりました。レトロな造りはあくまで観賞用、今の暮らしに合わせた使いやすさは重要です。

別の友人宅では天井にスピーカーを埋め込み、カウンターを設置し、バスルームもリニューアル。持ち家の住人はDIYでがらりとリフォームします。

以前住んでいたのは典型的な100年もののアパート。この窓がなかなかくせ者で、うまく閉まらず苦労しました。下がパン屋さんで鳩も多かったなあ。

現在のアパートは近代建築ですが、ねずみが何度も出没しあちこちよく壊れました。ただ、バルコニーのおかげでステイホームを乗り切れたので、感謝。

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あれこれ悩みは尽きませんが、パリのアパートはどの部屋も個性的でつくりが違うところは魅力。住人(オーナー)がその都度リフォームするので、同じ建物内でも内装や間取りが部屋ごとに違うのです。DIYも盛んで、理想の空間を自らつくる友人たちの姿に、暮らしの楽しみ方を見る気がします。不便さをいかに笑い飛ばせるか、という度量が試されるパリ生活。私の次の住処はどうなることやら。せめてトラブルが最小限に抑えられますように…。

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