移住後の豊かな日々。料理研究家・門倉多仁亜さん、新天地・鹿児島での暮らしルポ【後編】

門倉タニアさん

料理研究家の門倉多仁亜さんが東京での暮らしをたたんで、鹿児島の家に引っ越しました。都会の真ん中から、地方都市への初めての移住、そこにはどんな発見があったのでしょうか。
気になる移住の話。【前編】からの続きです。

朝起きて、玄関に出るとそこに、ある日は箱に入った苺とお花、ある日は新聞紙の上に畑から穫ってきたばかりのラディッシュや人参が。
「最初はびっくりしたんですけれど、これは同じ敷地内に住む義理の姉や、知り合いからのお裾分けなの。庭で畑をしている人が多くて、穫れたものを置いていってくれるんです」

ざるに入ったソラマメやパンは県内の友達が宅配で送ってくれたもの。「新鮮だし、味が濃いんです」。だから、簡単に塩とオイルだけで十分おいしい。

朝起きて外に出ると、玄関外に置いた小さな椅子に穫れたてが!

義姉からのお届け物、その1。

義姉からのお届け物、その2。

苺とばらの花は料理教 室の生徒さんから。

いただいた野菜と下で紹介するハム屋さんのもので作った簡単ランチ。

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メモやカードなんてなくても、あ、これはあの人が持ってきてくれたんだな、と大体わかるのだとか。なんとも大らかな、都会とは違う贈り物のやりとり、心楽しい習慣です。門倉さんも最近、畑仕事をスタート。近所へ作物を配って歩く日も近いかも。
料理上手の義姉は、畑の収穫物だけでなく、折に触れてこの地に根付いた伝統的な料理を作ってくれます。門倉さんにとっては初めての新しい味をおいしくいただいたら、お得意のチーズケーキやバナナブレッドを焼いて、お返しに。食を通じて新しいつながりが 生まれているようです。

門倉さんから義姉へ。お礼に本場のチーズケーキを焼いてお返しします。

料理上手な義姉は季節ごとの郷土料理をおいしく作る名人。こちらはそうめん汁。カツオの出汁の優しい味で、冠婚葬祭には欠かせない郷土の汁物。

春先のよもぎを摘んで作ったお餅。姉妹で料理す るときは西洋料理担当の門倉さんなのだそう。

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2つの母国を持ち、小さいころからドイツ、日本、アメリカ、イギリスなど、父や自分、夫の仕事で、各地に暮らしてきました。居場所がないと思ったこともあるけれど、「それは仕方がないこと。逆にいろいろなものをたくさん見てこられたし、豊かで自由なことなんだって思います」
だから、新しい拠点でも、持ち前の素直さとオープンなマインドで地元の人たちとの関係を楽しんでいる門倉さん。市が女性たちの起業を後押しするために開いた地元のセレクトショップでは、手作りのジャムを販売したり、知人イラストレーターの展覧会をスタッフと一緒に企画したり。新たに建てた料理教室のための小さな家では、状況が落ち着いたら、レッスンをスタートする予定です。
「ここに定住していくんだし、家族と は別のところで、自分の居場所が作れたらいいですよね。自分のスタイルを大事にしながら、鹿児島の伝統的文化も学んでいきたいと思っています」

手製のジャムを地元女性たちのセレクトショップで売り始めました。

若い女性3人が運営する地元商店街のセレクトショップ「サルッガ」でジャムの販売をスタート。

「サルッガ」では、知人の絵画展を開いたりも。

ドイツに修業に出かけ、マイスターの称号を得た若き職人さんのハムの店がご近所に。

新しく飲み友達になった奈緒美さんの家には大きなアボカドの木があって、たくさん収穫させてもらいました。ばりばり働く頼れる看護師さんです。

大収穫のアボカド。

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