若い頃は、幸せの定義を決めつけがち。だけど50代、60代になり、自分にとっての幸せや大切なことが見えてきたというフランス女性たち。今回は、76歳のジョアンナ・ヴァン・ヴィリットさんにお話を伺いました。
Johanna Van VLIET/ジョアンナ・ヴァン・ヴィリット
オランダ出身。1968年渡仏。 アートギャラリーのディレクターやメンズのプレタポルテブティックのディレクターを務め、2008年にリタイア。
身なりを整えるだけで背筋が伸びる
若い頃から『コム デ ギャルソン』が大好き。つねにファッション、おしゃれが身近にあったというジョアンナ・ヴァン・ヴィリットさん。
年齢とともに、おしゃれは二の次になりがちですが、
「1年前、夫とともに新型コロナに感染し、2週間自宅で隔離生活を送ったんです。体調は悪くはならずに元気だったんですが、どこにも出られず、リラックスウエアのまま家から一歩も出ずにじっと過ごしていたら、気持ちがなんだかネガティブに。おしゃれ心がなくなる寂しさを感じました」
そこで、まだ家からは出られないけれど気分をあげたいと思い立ち、服を 着替え、アクセサリーをつけ、赤い口紅を塗ってみました。
「最低限の身なりを整えるだけで気持ちがすっと前向きになって、自然と背筋が伸びたんです。誰にも会わなくとも、たとえ1日中家にいる日でも、凛 と背筋を伸ばして過ごすためには、だらしない服装はしない。日々、おしゃれをすることが大切だと感じました」
気分を上げる真っ赤な口紅
「起きたらすぐに冷たいシャワー。これは長年続けている習慣です。その後、朝食をベッドに運び、夫といただきます。それから着替えて、歩いて10分ほどのヨガスタジオへ。ノーメイクでも、赤い口紅だけは塗っていきます」
近所に買い物に行くときでも、自分が好きな服を着ていると、自然に笑顔 になるとジョアンナさん。
「年齢を重ねておしゃれを諦める人もいます。でも体型や見た目を変えられ ずとも、印象を変えることはできます。 何よりメンタルが変わると気づき、ますますおしゃれ心に火がつきました。 もっといろんな服を楽しみます」
写真/篠あゆみ コーディネート/鈴木ひろこ 文/今井恵 再編集/久保田千晴