【60歳井手しのぶさんのペットロスとの向き合い方vol.4】愛犬との別れを経て動き出した息子との新生活

井手しのぶさんの家

終いの住処と決めて引っ越した現在の家に至るまで、自分のために建てた家は7軒。会社経営を経てフリーの建築家として活躍する<クウネル・サロン>プレミアムメンバーの井手しのぶさん。

昨年体験した愛犬との別れ、そこから始まった新たな暮らしについてお話を伺う連載の最終回です。

新たな相棒小太郎くんに加え、息子も一緒に暮らすことに

亡き愛犬昌夫くんの闘病生活をきっかけに、庭の一角に息子の住まいを作ることになった井手しのぶさん。取材に訪れた際、新居建築はちょうど大詰めを迎えていました。

井手しのぶさんの建築中の息子の家
井手さんのリビングからの光景。緑の芝生と畑が広がっていた一角に息子の住まいを建設中。

息子が21歳の頃、当時住んでいた家を売却し、そこからはお互い気ままな一人暮らし。一緒に住むのは十数年ぶりという井手さん親子の新しい暮らしが始まります。

「同居と言っても住まいは別だしライフスタイルも違うので、そんなに生活が変わることはないと思うのですが、こないだ息子と大喧嘩しちゃったんです。

自分で設計したものの、実際に建ててみたらリビングから見る息子の家は思いのほか大きくて圧迫感があるし、建築中の資材はそこら中に置いてあるし、この生活がストレスになっていたみたい。一緒にやる予定だった作業を『予定があるからできない』と言われて、もう『壊してやる!』って。

息子としては親孝行のつもりで引っ越しを決意したようで、それがストレスになるのならやめる?と言われましたが、冷静になり色々考えて和解しました。かなり頑丈に作ったので壊そうとしても壊せないよ。と大工さんにも言われましたし(笑)」

井手しのぶさんの愛犬小太郎くん
井手さんの話を聞きながら窓の外を眺めていたものの、うとうとする小太郎くん。

昌夫くんの闘病中、この先も続くと思われた介護生活のため、息子に同居を提案した井手さんですが、新居建築を待たずして昌夫くんは亡くなってしまいます。

「あのまま一人暮らしでも良かったのかなと思うこともありますが、息子の引っ越しが決まっていたので、こっちゃん(小太郎くん)を迎える覚悟もできました。この家に引っ越して6年、ちょうど変化の時だったのかもしれません」

生活を変えるのなら、気力と体力のあるうちに

息子さんの家作りをきっかけに、今後は庭や門扉のリフォームも計画中。今まで5年くらいのタームで引っ越しを繰り返してきた井手さんですが、今のところ引っ越しは考えていないそう。

「広い庭はとても気に入っていたのですが、本当に手入れが大変。55歳でこの家に引っ越し、畑仕事などを楽しんできましたが、6年経って体力がなくなってきた今、庭を縮小して息子の家を建てたのは、ちょうどいいタイミングだったように思います。

今後は庭をもう少しゾーニングして、ウッドデッキを作ったり石を貼ったりして作り込んでいきたい。空いている半端なスペースにサウナテントを作るのもいいかなと思ったり、庭のプランを考えるのはすごく楽しい」

井手しのぶさんと畑
息子さんの新居の横は畑スペース。だいぶ縮小したものの、季節の野菜などを育てています。

10月の誕生日で61歳を迎える井手さん。いつまでも体力があると過信してはいけないけれど、新しい展開を楽しんでいきたいと明るく話します。

「今後のことは、実際に暮らしてみないとどうなるのか分からないですね。私はなんでも早めに行動に移すタイプなので、生活を変えるのなら、自分がまだ元気なうちに。という思いもありました。本当によいよいになっちゃってから『もう動けないので来てください』っていうのも申し訳ないので。

元気なうちのほうが、お互いに少しずつペースが掴めるんじゃないかと思います。一緒に住んでみて本当に合わなかったらまた別々に暮らすという選択もありじゃないでしょうか」

井手しのぶさんの家
アンティーク家具やグリーン、アートがセンスよく配置された井手さんのリビング。

普段はあまり迷うことがないという井手さんですが、まーくんを亡くした後に小太郎くんを迎えること、息子さんの家を建てることについては、かなり迷ったのだそう。

「犬も飼わず息子も呼ばず、ここにこのまま一人で暮らすという選択肢と、犬も息子も迎えるという二つの選択肢があったんですけれど、今の時点では、どちらがよかったのか分からないですね。ただここまで来ちゃったので、これがよかったと思い込むしかない。

いろんなタイミングが重なってこっちゃんを迎え、息子と一緒に住むことになったのは、まーくんが自分がいなくなった後のことを考えていてくれたのかなと思うんです。まーくんを失った喪失感は消えることはありませんが、流れに逆らわず、変化を受け入れていきたいと思っています」

取材・文/吾妻枝里子

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