【私のこれから】ケンカしながら30年。 服への愛は全然変わりません

アンティパストのデザイナー2人

誰もが惹かれる、ちょっとガーリィでユニークなファッション。人気ブランドを率いてきた同級生ふたりの物語です。

日々、ケンカしてためない、というのが私たちのやりかた

ブランドが誕生して30年。ほんのり甘く、女性が永遠に愛する花や自然の風物をモチーフにして、靴下や洋服を提案してきた「アンティパスト」。率いるふたりのデザイナー、ジヌシジュンコさんとカトウキョウコさんが初めて出会ったのは小田原の女子高の1年生のときでした。 

ブランドが誕生して30年。ほんのり甘く、女性が永遠に愛する花や自然の風物をモチーフにして、靴下や洋服を提案してきた「アンティパスト」。率いるふたりのデザイナー、ジヌシジュンコさんとカトウキョウコさんが初めて出会ったのは小田原の女子高の1年生のときでした。 

「ともかくふたりとも小さいころから洋服が大好きで、そこは少しも変わっていないんです。自分たちが着たいものを作って、それがお客さまに楽しんでもらえたら。ちょっとどんよりした気分のときでも、うちの派手な靴下をはいてもらって、 ぱっと気持ちが晴れてきたらうれしい」(ジヌシさん)

頭からつま先まで、服のコーディネートを毎日考えるのが大好きなカトウさん。一方ジヌシさんは気に入った服を飽きるまで繰り返し着倒すのが好き。

「性格も全然違うけれど、お互いの違いをうまくミックスすることで、プラスとマイナスが合わさってゼロになるのではなく、倍にふくらんだらいいなと思うんです」(カトウさん)

とはいえ、仕事の日は毎日顔を合わせてきたふたりです。衝突やケンカはほとんど毎日なのだとか。「それが、周囲が驚くほどのケンカなんですよ。 最初はお互いに遠慮があったけれど、 不満をためていると爆発してしまう。 日々、ケンカしてためない、というのが私たちのやりかたなんですね。30年で2回くらい大噴火はあったけど、やめようと思ったことはないです」 と口を揃えます。

共通するのは、年月がたっても変わらない服に対する思い。「若いころと好奇心はまったく変わっていないのです。いつもチャレンジしようという気持ちがふつふつと湧いてきて」とカトウさん。ジヌシさんが続けます。「年を重ねる、という言い方があるけれど、重ねると体が重たくなりますよね。だから、私は軽やかに、その年その年をがんばればいい、重ねるんじゃなく、って思うんです」 

体力が落ちてきていることを感じはするけれど、好きな仕事を大切に、毎日を軽やかに。ふたりの着ることへの愛と好奇心が、「アンティパスト」の靴下や服にはにじみ出ているのです 。

『クウネル20221月号掲載
写真/森山祐子、取材・文/船山直子


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