俳優・中嶋朋子さんが絵本の中で見つけた大切な言葉「表紙を見ただけで違う世界へぽんと飛んでいける」

GOMA 絵本表紙

子どものときに出合って心の奥深くに刻まれたあの言葉。大人になって、自ら選んだ本の中で巡り合った忘れがたい文章。絵本に書かれた美しく印象的な言葉は、読者の心にずっと寄り添い続ける人生の宝物です。絵本好き俳優・中嶋朋子さん聞いた珠玉の言葉集です。

見えないものに心を寄せて、絵本が世界を豊かにしてくれる。

\言葉1/
『GOMA 黒ネコ、日々色々。』より

GOMA 絵本表紙

Stressed(ストレス)を
逆に読むと
Desserts(デザート)。

GOMA 絵本表紙

『GOMA 黒ネコ、日々色々。』

UIKO IKEDA 作/クレヴィス

「ストレスを逆に読むとデザートになるなんて、やられた!って感じでした」と中嶋さん。猫の自由気ままな感じがかわいらしく描かれている。著者の本業はピアノ教師だが、ボールペンで描いた絵がインスタグラムから支持を集め、絵本になったそう。

読書家の中嶋朋子さんは、自分が小さくなっていないか、縮こまっていないかな、と感じるとき絵本を開くと言います。

「表紙を見ただけで違う世界へぽんと飛んでいける。絵本と触れることで、自分の中で咀嚼しきれなかったものが何だったのか、見えてくるように思います」

\言葉2/
『うさぎがきいたおと』 より

うさぎがきいたおと 絵本

「うさぎ、しょげては いけないよ。
そのおとは、いつでも きこえる おと では ないんだ。」

うさぎがきいたおと

『うさぎがきいたおと』

かみじま あきこ 文/沙羅 絵/美篶堂(みすずどう)

たたずまいが美しい函入り、手製の特装絵本。「何度も読み返す『星の王子さま』の『肝心なことは目に見えない』という言葉を読んだときの衝撃を思い出します。見えない、聞こえないからこそ可能性は広がるんですね」短い物語の中に深く広い問いかけが。

『うさぎがきいたおと』は、うさぎが聞いた不思議な音がお話の発端。何の音かを探し回るうさぎは大きな鳥と出会って。

「とあるタイミングで聞こえてくる大切な何か。それはいつも聞こえるわけではないし、どこから聞こえるかわからない。でも、大切な何かを聞いたことを覚えておくこと、そのありかを探し続けることの希望を感じる言葉だと思います」

\言葉3/
『すべてのひとに石がひつよう』より

すべてのひとに石がひつよう 絵本表紙

「その石の どこがそれほど特別なの?」
と もし聞かれても答える必要なんてない。
わたしなら 答えない。

すべてのひとに石がひつよう 絵本表紙
すべてのひとに石がひつよう 絵本表紙

『すべてのひとに石がひつよう』

バード・ベイラー 文/ピーター・パーナル 絵/北山耕平 訳/河出書房新社

「すべての人に自分にとって特別で、永遠に大切にできる石が必要」というメッセージに貫かれた不思議な手ざわりの絵本。「人生で一番大切なものは、どこにでもある小さな石かもしれない。理由も理屈もなく、自分と向き合う時間が大事ということかもしれないですね」

人生で大事なことは他人の物差しでは測れないし、理屈でわかることでもない。でも、わからないまま自分の中を探っていくと答えが見つかるかも。そんなことを絵本の言葉が助けてくれる。中嶋さんが信じる絵本の力です。

\言葉4/
『メメンとモリ』より

メメンとモリ 絵本表紙

こわれちゃったら かなしんで、
あたらしくできたら よろこんで、
大事なものを大事にして、
どうでもいいことは ほっといて、

メメンとモリ 絵本表紙

『メメンとモリ』

ヨシタケシンスケ 作/KADOKAWA

メメンとモリという姉弟が大切なお皿を割ってしまったことから生まれる「生きる意味」や「生きる目的」への問い。なにげない言葉の中に深いメッセージがこめられている。「ヨシタケさんの作品はいつも、ものの見方を小気味よくひっくり返してくれます」

PLOFILE

中嶋朋子/なかじま・ともこ

俳優
子役時代から映画、舞台、ラジオドラマやナレーションで活躍中。海外へ旅するとまず本屋さんへ直行。「空のスーツケースが帰りには本でぎっしり。絵本もたくさん買いました。ジャケ買いも多いですね」

『クウネル』2025年7月号掲載 写真/久々江 満、取材・文/船山直子

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