還暦を過ぎ「仕事の引き際」について考え中。キラキラ前向きな「第二の人生像」には落ち込みます

〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバー、整理収納アドバイザーでエッセイストの青木美詠子さんのエッセイ。今回のテーマは仕事の引き際について。フリーランスで定年の無い青木さんですが、還暦を過ぎ「いつまで仕事をするのか?」と考えているそうです。

定年退職する男性の寂しさが分かるように

同世代の女性の人生が、私はいつも気になります。最近では、引退前後の暮らしについて。私はフリーランスなので、定年で会社をやめたり、はないのですが、依頼が徐々になくなっていくのは、ただただ寂しいものだなと思います。でもそれは当たり前で、時代に合わせ、もう一定の役割を果たしたのだと思えばいいだけですが。

実際に会社で花束をもらって退職する男性の寂しさも、昔より切実に想像できます。今は女性も定年まで働く方が多そうなので、そのあたりの心情も気になります。第二の人生にスパッとシフトできる方は尊敬。でも考えたあげくの結論だけが表に出て、サバサバ見えるだけかもしれませんね。

65歳あたりを区切りに?

私は常にジタバタです。最近では不定期で行っている自宅セミナーの募集をあと2、3年程、65歳あたりをメドに終えようと考えています(リクエストがあれば別)。その引退感が大きく胸に迫っています。

理由は「集客」が苦手すぎるから。もちろん誰も得意ではなく、やらないといけないから、日頃から人気を高める発信をSNSで続けたり、努力されているんですよね(SNSも世代ではないし、アピールが非常に苦手です)。

もし私が会社で営業職になったら、すぐ退職したと思います。「ぜひ!」とか何度も誘うのが難しいのです。楽しい時間だし、役立つとも思うので、言うのは正当とわかっているのに、です。

それならいっそ全部やめよう、と何度も思うのですが、セミナーをやった後はいつも「よかったなあ」と胸いっぱいで、ご感想にもじーんとしたり。遅くに建てた家を、女性が集う場所にできたのも感慨深かったです。

クリスマスに生けた花をドライフラワーに。

その嬉しさと集客のハラハラを天秤にかけつつやってきましたが、老後に心配ばかりするのは、ちょっと違うのではと思ってきました。もっと穏やかに、安心して過ごしてもいいんじゃないか、と。

私は元気なうちは、何かしらの仕事かボランティアをやりたいのですが(家事代行や、シルバー人材センターも視野に)、同世代のSNSで「これからが私の人生。好きなことをする」などの発言を見ると、それも魅力的かなと思ったりします。残り時間がどれだけか、わからないですし。

それで考えたあげく、多くの方が引退される65歳くらいをメドにしてみようと思ったわけです(でも、そこからも来てみたい方は全然ウエルカム)。集客だけをやめたいのです。こんな人いるのかしら、とも思います。でも、これで何もなくなっても「好きな人生を楽しむ」は残るので。

また心配性の特性として「気にしないのは無理」と認められたのも、よかったです。依頼を受けたり、雇われて仕事に行ったり。私にはそのほうが非常に気がラクとわかったので、そういう方向に少し進もうと思いました。ちょうど依頼があり、整理収納の訪問レッスンに行けたのも心強いことでした。

第二の人生に対して正直な本達。『人生後半、上手にくだる』は本当に共感ばかり。『61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地のお医者さん」はじめました』は迷いつつ、ぐいぐい進む展開に勇気が(以前『女性の「定年後」』も読了)。『60代の生き方・働き方』は当時、そのリアルさと行動力に衝撃が。『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』は迷われてはいないようですが、すべての心持ちが参考に。興味あるシルバー人材センターの話も少し。

気持ちを表明するかどうか

元来、先輩の後を付いていきたい気質なので、本もいろいろ探しましたが、ジタバタした迷いを公表されているものは少ないよう(逆にキラキラな転身は比べて落ち込むことも)。私も迷いを書くことで、弱々な一例になれたら、という思いです。

人生の最後にはもう働いておらず、「健康に暮らしているだけで素晴らしい」となるのかな、とぼんやり思います。そういう方の本も数々読んでいて、お手本にしようと思っています。その意味でも健康が最重要なので、それをストレスで損ねるのは本末転倒と気づきました。

でも世の中の皆さんは、こんなことをわざわざ表明せず、静かにシフトされているのかなと思います。それでいいのですよね。それでいいです。

\aokimi’s memo/

SHARE

この記事の
プレミアムメンバー

青木美詠子

1963年生まれ。整理収納アドバイザーの資格をもち、不定期にさまざまな自宅セミナーを開催。個人へのお片付けサービスも行う。著書に『あおきみさんち、家を買う。』(マイナビ出版)など。長年実践する「冷えとり」に関する著書も。
https://www.aokimi.com/
Instagram:@aokimieko1616

IDメンバー募集中

登録していただくと、登録者のみに届くメールマガジン、メンバーだけが応募できるプレゼントなどスペシャルな特典があります。
奮ってご登録ください。

IDメンバー登録 (無料)