『西園寺さんは家事をしない』漫画家・ひうらさとるさんが漫画の描き方の基礎を学んだあの名作
誰しも人生の傍に本の存在があるのではないでしょうか。
時に新しい扉を開き、背中を押し、心を癒してくれることも。『西園寺さんは家事をしない』『ホタルノヒカリ』などの漫画家・ひうらさとるさんに〝かけがえのない本〟を聞いてみました。
第1話は忘れられない。漫画を描く基礎を学んだ。
「舞台のチケットが欲しくて大晦日に必死でラーメンの配達をするマヤ。店の娘が意地悪をして放り投げたチケットを拾うために、マヤが冬の海に飛び込む、第1話をはっきり覚えています」
9歳のときから読んでいた『ガラスの仮面』に衝撃を受けたひうらさとるさん。「わかりやすい設定、魅力的なキャラクター、引きの強いストーリー作りなど、漫画の描き方の基礎を教わりました」
20代になって全巻を買い直したそう。
「月影先生がオーホホホホと笑って〝恐ろしい子!″という例のセリフまで1巻に全部詰め込まれている。まるでネットフリックスのドラマみたい」
美内氏に影響された、読者の期待に応える濃密なストーリーや強いキャラ設定が評価され、高校3年で漫画家デビュー。ドラマ化される作品が多いのも納得です。
お金がお金を生む仕組み、投資を始めるきっかけに。
2冊目は、ちょっと意外なお金の本。
「31歳の頃、3LDKの家賃も高いし、と新築マンションを購入。小さめだったので同じフロアに2つ!びっくりするくらいの住宅ローンを抱え、初めてお金の勉強を一から学ばねばと」
あらゆる本の中で一番参考になったのが『ほったらかし投資術』。一定金額を定期的に積立投資するドルコスト平均法をわかりやすく説いたベストセラーです。
「これを機に投資を始め、相場が変動してもローンがあっても焦らなくなり、不安も消えました。でもお金は使わないと意味がないから、そろそろ投資のやめ方を学んで、どこにどう使うか考えたい」
性の常識の価値観が変わり目からウロコがポロポロ。
3冊目はタイトルそのままの、やや過激なフェミニズムを解く『射精責任』。
「女性が解放されて自由になり強くなったはずの今も、レイプ、避妊、妊娠を含め、性に関しては女性が我慢し責められ、リスクを負っていることに改めて気づかされました。アメリカですら女性はピルを気軽に飲んでいて、実は簡単なパイプカット手術をする男性は少ないとか。疑問にも思わず知らなかったことが多すぎる。フェミニズムにより興味を持つきっかけになり、作品にも生かしています」
PROFILE
ひうらさとる
大阪府出身。1984年に『あなたと朝まで』でデビュー。代表作は『ホタルノヒカリ』など。『西園寺さんは家事をしない』もドラマ化。YouTubeやVoicyの配信も精力的に行う。
『クウネル』2024年11月号掲載 写真/加藤新作、 取材・文/片岡えり
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