【80代以降のひとり暮らしvol.3】フォロワー20万超えのXユーザー大崎博子さん

78歳から始めたX(旧Twitter)のフォロワー数は20万超えという91歳の大崎博子さん。SNSを始めたきっかけや、それによって暮らしがどう前進したのか?すこやかなひとり暮らしの秘密に迫ります。

60代から90代までの、ひとり暮らしを楽しんでいる6人のライスタイルを紹介する書籍『人生後半のひとり暮らしを穏やかに楽しむ』(主婦と生活社)から紹介します。

ごく普通の日常に、新しい世界が開き始めました

70歳まで現役で働き、退職以降は趣味を楽しむ大崎博子さんが有名になったのは78歳ではじめたX(旧ツイッター)がきっかけです。

「Xは、ロンドンに住むひとり娘が提案してくれたからです。暇を持て余していると思ったんでしょうね」

当時の大崎さんには、仕事という毎日のルーティーンがなくなってから、健康麻雀や太極拳などの趣味で楽しく過ごせる時間はありましたが、漠然とした不安がいつもつきまとっていました。

それは、「これからどう生きればいいの?」ということ。娘は海外に住んでいるため、大崎さんにとっては身近ではありません。頼りたいと思ったときに近くにいないのであれば、「誰にも迷惑をかけずに生きていく方法」はなんだろうかと、これからの生き方について考え続けていました

78 歳でパソコンデビュー。新しい趣味が見つかる

きっかけはパソコン教室でした。「Xを始めてみれば」と娘からの提案があったものの、SNSがどういうものなのか、どのようにやればいいのかは全くわかりません。さらに、娘から「パソコンを使えば、海外でも無料で通話できる」と教えてもらいました。当時は高い国際電話代金を支払っていたので、やらない手はありません。

早速、東京・銀座のアップルストア内にあるパソコン教室に約1時間かけて電車で通い始めました。この年になって、本当に覚えられるのかと不安はありましたが、丁寧に教えてくれたこともあり、みるみるうちにパソコンを触ることが楽しく感じるようになりました

花瓶を集めるのが趣味。お気に入りの花瓶を部屋のあちこちに飾り、
季節の草花を飾ることで、心地いい空間ができあがっている。

「振り返ると、あのとき、えいやと自分を奮い立たせてパソコンを買い、若い人に混じりながらも教室に通った勇気を褒めてあげたいと思います。今ではXが毎日の趣味として加わり、たくさんの人と交流をもてるなんて、当時は想像できませんでした」

やがて、スマホとアイパッドも加わり、電子マネーやLINE を使いこなすように進化していきました。一つの勇気とチャレンジから大崎さんのライフスタイルは大きく変化していきました。

どう思われても気にしない、自分の思うままを表現する

そして、日々のなにげないつぶやきを投稿していくうちに、フォロワーがどんどん増えていきます。今では、フォロワー数が20万人以上。大崎さんが投稿すると、またたく間にコメントが入ります。中でも印象的なのが、「年を取るのが怖くなくなった」、「勇気をもらえる」といったコメント。大崎さんのポジティブな言葉に、たくさんの人が勇気や元気をもらっている様子が伺えます

お花が好き。撮影をしたら、花の名前を調べてXに投稿。

「ごく普通に生きてきている私のつぶやきを読んでくれる人が世界中にいる。さらに、自分の言葉が誰かの心を明るくさせたり、ほっとさせたりできるなんてとても画期的です」

住む場所も年齢もバラバラな人たちとの交流は、嬉しくもあり生きる活力になっていきました。その中で大崎さんが心がけていることがあります。

「たくさんの人が見てくれているからといって、無理に合わせたりしません。さぼりたければさぼればいい。人生には余裕が必要です。誰にどう思われても気にしない、自分の思うままを表現する、それに尽きるだけです」

孫の写真を額縁に入れてダイニングに飾っている。

そういったまっすぐで正直なありのままの自分を信頼しているからこそつむがれる言葉がたくさんの人の心に届きます。実際に、「スマホ依存症だっていい」、「今が幸せと思える自分が好き」、「毎日元気でいられることって、奇跡だと思う」など、ご自身の心情を表現した投稿が多くのフォロワーに支持されています。

あたりまえに毎日のルーティンを送れることが奇跡

大崎さんの朝は太極拳からスタートします。自宅から歩いて15分、公園に集まって1時間ほど太極拳をして、終わったらさらに1時間かけて公園を散歩したり友人とおしゃべり。自宅に戻ったら、お気に入りのエスプレッソマシーンで濃いめのコーヒーを入れてゆっくりといただきます。その時間がたまらなく好き、といいます。

朝、目が覚めて、健康的に体を動かせたことに対する感謝の気持ちが、コーヒーの湯気と共に心にもじんわりあたたかく感じられます。そして午後は、Xを開いたり、ぼーっとしたり、昼寝をしたり、気ままに過ごす時間。

リビングで晩酌をしながらテレビを見るのが幸せ時間。

「夕食どきになると、娘から電話がかかってきます。8時間近く時差があるなかで、私に合わせてちょうどいい時間にかけてくれます」

国際電話代を気にせずのおしゃべりも、パソコンの使い方を覚え、LINE アプリを使いこなせるようになったからこそ。離れて暮らしているから、毎日の数十分の会話ができることもありがたく感じることの一つです。

好評発売中の本書では、このほかの魅力的な「ひとり暮らし」が

人生後半のひとり暮らしを穏やかに楽しむ

年を重ねても自分の生き方を楽しみたい。年金暮らし、団地住まい、田舎暮らし…お金をかけなくても豊かな女性たちの軽やかな暮らし。60代から90代までの、ひとり暮らしを楽しんでいる6人のライスタイルをご紹介します。

紫苑さん(73歳)ブロガー
大崎博子さん(91歳)Xユーザー
浅野順子さん(73歳)画家
ウリウリばあちゃん(69歳)YouTuber
大蝶恵美子さん(87歳)土鍋作家
本田葉子さん(68歳)イラストレーター

人生後半のひとり暮らしを穏やかに楽しむ』(主婦と生活社)
smile editors編
128P、1,760円

 

大崎博子さん

91歳。昭和7(1932)年生まれ。78歳から始めたX(旧ツイッター)のフォロワー数は20万超え。楽しみは毎晩の晩酌と3日に1回ほどのペースで通う健康麻雀。著書に『90歳、ひとり暮らしの知恵袋』(宝島社)ほか。

写真/森本綾、編集・執筆/森田有希子(smile editors)

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