【80代以降のひとり暮らしvol.4】シングルマザー生活を経ておひとり様へ。大崎博子さん

78歳から始めたX(旧Twitter)のフォロワー数は20万超えという91歳の大崎博子さん。SNSを始めたきっかけや、それによって暮らしがどう前進したのか?すこやかなひとり暮らしの秘密に迫ります。

60代から90代までの、ひとり暮らしを楽しんでいる6人のライスタイルを紹介する書籍『人生後半のひとり暮らしを穏やかに楽しむ』(主婦と生活社)から紹介します。

シングルマザーという言葉が当たり前でなかった頃

毎朝の日課である太極拳から帰ってきたら、軽くランチを済ませて、午後はダイニングでのんびり。日記を書いたり、Xをしたり。

今はこうやって、毎日の幸せをありがたいと感じる日々を送っていますが、子育て真っ只中の時期はそうは思えませんでした。若い頃は苦労が絶えなかった、いや苦労しかなかったと振り返ります。

「今では、バツイチやシングルマザーであることが何も恥ずかしくない、むしろ勲章。当たり前のことのように語られていますが、私が子どもを産んだ1970年代はとてもじゃないけど、人前では言えませんでした」

元夫とは、ひとり娘を産んですぐに離婚をし、ひとりで育ててきました。

「とても大変でした。特に収入面では、今と違って保障や支援などはなかったですからね。だからこそ、必死で働きました」

1970年代、不動産営業の仕事をしていた頃。仕事中の1枚。

無我夢中で働き続ける30代の頃は再婚の話もありましたが、大崎さんはひとりで育てる選択をします。そして、娘が24歳で大崎さんが50代の頃、娘のロンドン留学をきっかけにひとり暮らしをスタートしました。

「娘の留学は、半年の予定でしたが、現地で就職、国際結婚し、そのまま暮らしています。ですから、私のひとり暮らしはもう50年近くになります。寂しいといえばそうかもしれません。ですが、おひとり様な分、ひとりで気ままに生活できています。それは健康だからこそだと、この年になってすごく実感しています。健康であるからなんでもできる。これからは健康でいることが私の仕事だと思っています」

好きな言葉は「健康第一」

毎日の太極拳や健康麻雀が大崎さんの健康法です。加えて、昨年、あることがきっかけで、病気に対する意識が変わりました。

「昨年、大腸がん検診で異常が見つかり精密検査を受けることになりました。結果が出るまでのあいだはもう不安で不安で……。眠れぬ夜を過ごしました。そして、結果は異常なし。ほっと安堵したのと同時に、病気について考えさせられるきっかけになりました」

終活を意識したのは10年前。遺影用の写真は和装と洋服の2パターンで近所の知人が撮影してくれたもの。

というのも、もしも今、ステージ4のがんになったとしたら、91歳の私に何ができるのだろうか。ただ、死ぬのを待つようなことはしたくありません。だったら、今は健康であるように気をつけ、痛くなったり不調があったら、検査をしたり病院に行こうと決めました。
「病気になったら、どうあがいても病気のことばっかり考えちゃう。そして、人にも迷惑をかけちゃう。人に迷惑をかけずにいるというのも私の大切な仕事。改めて、健康でいるということは幸せなことだと感じています」

好きなことはあきらめず、自分なりのルールで

若い頃から毎晩の晩酌は1日の楽しみ。90代になった今でも続けています。

「お酒は健康のバロメーター。おいしくお酒をいただけるってことは健康な証拠です。昔は深酒する日もあったけど、健康を意識し始めてから、缶ビール2本ぐらいまで。適量なら毎日飲んでもいいことにしています」

好きなお酒を我慢してやめることはストレス。だからこそ、節制して適度な量を楽しんでストレスをためないことも大崎さんのモットーです。さらに、自家製のぬか漬けなどのおつまみは、きれいなお皿に盛ることも大事なルーティーン。理由は気分が上がるから。ひとりでも、自宅でも、特別感のない普通の毎日に、気分を上げる工夫がかいま見れます。

さらに、毎日食べているのが米ぬかをいった「いりぬか」。
「毎日、いりぬかをスプーン1杯、ヨーグルトにかけて食べているから、玄米を食べているのと一緒。玄米は硬くて食べにくいけど、粉末のいりぬかは食べやすいし、健康にもいいですよね」

米ぬかをいった「いりぬか」は瓶に入れて保存。「いりぬかは香ばしくて玄米のような風味です。

きれいでいるのは私なりのマナー

たとえ、早朝の太極拳でもノーメイクで出かけることはありません。毎朝のメイクは、眉毛を描き足し、目尻にアイラインを引くだけ。シンプルながらも、何十年も欠かさない大事なステップです。

「ただ、この年になると、目がたるんできて思うようにアイラインが引けなくて。そこで始めたのが目の周りのスキンケア。入念に続けたら、これまで感じていたアイラインの引きにくさがなくなりました。続けるって大事ですね。いくつになっても、スキンケアの効果が感じられるのはうれしい!」

こうやって、日々の暮らしの中の小さな手応えを感じてアップデートすることで、心地よさを丁寧に選択していく大崎さん。

カラフルなストールやマフラー。「グレーが好きでつい選んでしまいがちですが、できるだけ明るい色を身につけるように心がけています。顔が明るく見えるからね」

「Xでいろんな人とコメントのやりとりをしていると、日本人は人の目を気にしすぎるなあと感じます。人のことを気にするとそれだけでストレスになる。ストレスから病気にだってなる。だから、人のことは気にせず、自分が好きなことをやるといいと思います。わが道を行くでいいのです」

毎日の眉メイクに欠かせないのはファンケルのペンシル。リフィルを買い足しながら、10年以上愛用。

好評発売中の本書では、このほかの魅力的な「ひとり暮らし」が

人生後半のひとり暮らしを穏やかに楽しむ

年を重ねても自分の生き方を楽しみたい。年金暮らし、団地住まい、田舎暮らし…お金をかけなくても豊かな女性たちの軽やかな暮らし。60代から90代までの、ひとり暮らしを楽しんでいる6人のライスタイルをご紹介します。

紫苑さん(73歳)ブロガー
大崎博子さん(91歳)Xユーザー
浅野順子さん(73歳)画家
ウリウリばあちゃん(69歳)YouTuber
大蝶恵美子さん(87歳)土鍋作家
本田葉子さん(68歳)イラストレーター

人生後半のひとり暮らしを穏やかに楽しむ』(主婦と生活社)
smile editors編
128P、1,760円

 

大崎博子さん

91歳。昭和7(1932)年生まれ。78歳から始めたX(旧ツイッター)のフォロワー数は20万超え。楽しみは毎晩の晩酌と3日に1回ほどのペースで通う健康麻雀。著書に『90歳、ひとり暮らしの知恵袋』(宝島社)ほか。

写真/森本綾、編集・執筆/森田有希子(smile editors)

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