90歳くらいまでの“お金計画”に必要な暮らしとは?【建築デザイナー・井手しのぶさん】
「あれば安心」のお金ですが、どれくらい必要で、どんな風に使うのが快適かは、人によってちがいます。「これから」を見据えたお金との心地よい関係についてさまざまな価値観の方に伺いました。今回は建築デザイナー・井手しのぶさんが考えるお金との付き合い方。
井手しのぶ/いでしのぶ
建築デザイナー 60歳
一般住宅リノベーション、店舗設計、庭のデザインなどを行う「Atelier23.」を運営。7軒目に立てた鎌倉の一軒家で猫と犬と暮らす。
「金はとっても大切。でもあれば あるほどいいという時代は終わったかな〜」
よく通る声で快活に答えてくれた井手しのぶさん。いまは、 建築デザインの仕事も、自分のペースでできる範囲内にしています。唯一のお金の使いどころだった海外旅行もお預け、物欲も食欲もクールダウン中のいま、ある程度のお金で満ち足りた暮らしを送れるのだといいます。
「たとえば、サンダルがセールになっていて『いいな』と思う。でも、私は すでに4足持っている。そこにさらに買い足して、すべてを履き倒すまでに生きていられるの?と......。わりと先のことまで考えてしまうタイプなんですね。それに、たくさんのものを持っていても、私が元気じゃなくなったら、誰が管理するのだろうと思ってしまう」
それは息子の役目になるだろうけれど、できる限り迷惑はかけたくない。そんなことを考えながら、60歳以降、暮らしは少しずつミニマムになっているようです。
先を考えるといえば、資産のこと。90歳を「未来」として、それまでの期間のお金計画を立てています。「食費、 光熱費、税金、通っているプールの会 費など、一カ月に大体必要なお金が、90歳までだったらいくらあるといいの かを算段しました」
数年前には、自分の資産や保険のことなどを小さいノートにまとめ、一人息子に渡せるように備えています。そんな息子との関係ですが、最近になっ て変化が。長らく離れて暮らしていましたが、夏に自邸敷地内に息子用の家を建てました。きっかけは愛犬の介護。一人では不安だったため、同居を提案したのです。残念ながら、息子の家の完成前に亡くなってしまいましたが、縁あってやってきた新しい相棒とにぎやかな生活がスタート。井手さんの暮らしも変化を迎えています。
『クウネル』2022年11月号掲載
写真/柳原久子、杉能信介(石黒さん)、 取材・文/鈴木麻子
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『クウネル』No.117掲載
あの人が心がけている60歳からの幸せルール
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