料理家・サルボ恭子さんがお金について考える。フランス人の夫の影響で、お金の使い方にもメリハリが

「あれば安心」のお金ですが、どれくらい必要で、どんな風に使うのが快適かは、人によってちがいます。「これから」を見据えたお金との心地よい関係についてさまざまな価値観の方に伺いました。

サルボ恭子/さるぼきょうこ

料理家 51歳
パリで料理と製菓を学び、料理家として独立、フランスの家庭料理を紹介。主宰する料理教室も人気。 近著に『毎日おいしいびん詰め』(文化出版局)。

夫のおかげでお金への考え方に変化が

「なければないなりに、なんとかなるという夫の考え方でこちらも気が楽になりました」

「貯金をする習慣もないし、ふたりの子どもたちの学資保険にも入っていない。最初は大丈夫なんだろうかと不安な気持ちになりました」

まだ幼かったふたりの子どもを連れたフランス人の夫と結婚したとき、そう感じたサルボ恭子さん。でも背景には、税金が高いけれど、学費や医療費はゼロ、学校もほとんどが公立、だから学資保険を組むという考えもないし、貯金しなくちゃ、という意識も希薄というフランスの事情があったのです。

そんな夫と長年寄り添い、「お金は大事だけれど、ほどほどでいい。なかったらないなりに暮らせばいい」というおおらかな考え方に影響を受けたそう。夫が一番重きをおいているのが夏のバカンス。ヨーロッパではごく当たり前、日本人には夢のような丸々1か月の夏休みには、それ用の資金は用意するし、出し惜しみはしません。日本で暮らしていても、その習慣は変わらず。 夏が来ると家族4人で渡仏。田舎の家を借りて、ゆったり時を過ごすバカンスを堪能してきました。

バカンス中は観光にも出かけず、 食事は街のレストランに行った り、簡単な料理をしたり。ゆったり気ままに過ごす。

「贅沢なホテルに泊まったりするわけ ではないのですが、バカンスはフランス人にとっては生きる上で必要なこと。かけがえのないものが得られる大切な時間なんです。人生に対する備えは大事だけれど、倹約、倹約といつも気にしているのはちょっとつらい。お金も生活もメリハリのつけ方が大事なんじゃないかと思うようになりました」

子どもたちが独立し、サルボさんは老親を引き取り、二世代同居をすることに。親の老いを目の当たりにし、自分自身の人生後半についても考えるようになったと言います。

「私は、ちょっとですが、無理のない範囲で貯金を始めました。夫も養老保険には入っているみたい」

お金も人生も、それぞれのペースで考え、選んでいるふたりなのです。

アフリカの布やオリーブの木のチーズトレーなど、蚤の市などで求め、持ち帰ったものが、年年の旅の記憶を呼び起こす。

『クウネル』2022年11月号掲載
写真/柳原久子、杉能信介(石黒さん)、 取材・文/鈴木麻子

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『クウネル』No.117掲載

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