人生経験を積んでいくと、親しい人との関係性も少しずつ変化するのは当然のこと。良い関係を楽しめている仕事仲間同士が語る、つながりや今の距離感を保つ秘訣とは?
20代で同じ出版社に入社して以来、40年以上のつきあいになるお二人。退社後、スタイリストの事務所を立ち上げ、新たに60代で、セレクトシ ョップをオープン。今年で7年目を迎えます。
「実は前にもお店の話を松田さんに持ちかけたんですが、そのときは難しいかな、と言われたんです。でも、一人でお店をやることは考えませんでした」
60代になって松田さんの心境に変化が。「いつまで今の仕事ができるかと考えたとき、二人ならお店を始めるのもいいかも、と。やっぱりこの先も一緒に仕事をしていきたいという想いが強くなりました」
そこにあるのは、長い年月をかけて築いてきた信頼感。お二人は口を揃えてこう言います。
「何があってもそれぞれが別の道を行くという選択肢はないので、決裂はありえません。必ず味方でいてくれる、肯定してくれる友人がいることは、何にも代えがたいこと。その思いを共有できるから、今につながっているのだと思います」
演劇やコンサートなど、好きなことも一緒というお二人はプライベートでも仲良し。友人以上の家族のような存在だと言います。
「とはいえ、相手のことを全部知りたいとは思わないし、彼女が話さないことは詮索しない」と石田さん。松田さんも「たまに機嫌が悪いかなと思うことがあっても、あえてスルー。相手に感情をぶつけたりしないですね」と、 お互いを受け止めつつ、干渉しすぎないのがお二人のスタンス。
「これからも二人で行けるところまで。 元気に仕事を続けたいです」
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『クウネル』2022年11月号掲載
写真/山本倫子、取材・文/小林賢恵