
取材で多くのインテリアを見てきた写真家の柳原久子さんが建てた2軒目の家リポート。第2回目は、木箱を多用したキッチンと屋上ガーデンを紹介します。
シンプルな箱型の家をつくり、必要に応じて自分たちでつくり足していく。これが柳原さん夫妻の選んだ住まい方。棚が必要だからと家具店に探しには行きません。箱を重ねて棚にする、壁にフックやバーを取り付けるなど、工夫をこらして気取らない住まいづくりを楽しんでいます。
「年を重ねて家を替えるのは面倒と思う方もいるかもしれません。でもやってよかった。暮らしのサイズを見直すきっかけになります。そこで私たちは身軽でいたいと改めて気づき、本当に必要な物を見直す作業ができました」
家を見渡せば家具らしい家具はちゃぶ台とアンティークの箪笥だけ。それは、あれこれ置いて家の風通しを鈍らせたくないという思いから。最近には、ごみ箱も止めたというから驚きです。
「ごみの入った箱が部屋にあるのがどうも嫌で……。台所の裏に袋を吊るすスタイルに変えました」




もっぱらの楽しみは屋上ガーデン。オーストラリア原産のネイティブプランツを増やしている最中です。葉の形が多様で、常緑なのが魅力だそう。
「森が近いので空気がきれい。見たこともないような虫や鳥がやってきて、豊かだな〜と感じます」。柳原さんの住み替えは大成功のようです。




やなぎはら・ひさこ
雑誌や広告などで活躍するカメラマン。月に数回、スタジオを「なたね写真館」としてオープン。プロにヘア&メイクをしてもらい自然光でナチュラルなポートレートを撮影してもらえる。
https://natanephoto.com/
『ku:nel』2019年9月号掲載
写真 柳原久子/取材・文 鈴木麻子