フランスの人たちが夏のバカンスと同じくらい楽しみにしているのがノエル、そうクリスマス。街を彩るイルミネーションや、通りに立つクリスマスマルシェなど、美しいパリの街がより一層輝く時期です。しかし、今年は世界中がそうであるように、「そっくりいつものように」とはいかないようですが……。
12月に入り、ぐっと冷え込んで来たパリ。予想外の出来事の連続だった1年の終わりの街は、クリスマスムードで華やいできました。キラキラとした光景に気分も上がる一方、その様子のあちこちに「今年らしさ」も見えています。
まず、最大のトピックは「クリスマスマルシェがない」ということ。これにはみんなかなりショック、というかがっかり。寒い中、屋台で食べるアツアツのラクレットチーズや大きなソーセージ、ぐらぐら煮立ったホットワイン…実は食べにくいし、割高だし、お店で座っていただいた方が楽なのですが、やはり賑やかなマルシェの雰囲気は格別。アミューズメントスポットがないパリでは、屋台と並ぶ移動遊園地も大人気ですが、今年はそれもありません。すごいスピードで回る観覧車も、手作り感満載のお化け屋敷も、不思議な景品ばかりの射的もお預け……残念!
そんな中、恒例の「シャンゼリゼ大通りのイルミネーション点灯式」が11月下旬に行われました。ロックダウン中だったため、今年はインターネットで世界中、誰でも参加できることになり、私も事前に登録。当日の予定時間になかなかネットが繋がらず焦りましたが、何とか間にあって画面上の「点灯ボタン」をクリックできました(但し、肝心のボタンマークが消えて、何もない場所をカチっとしただけですが)。現在、大通りは夜になるとイルミネーションで真っ赤に染まっています。
人々のクリスマスの準備も着々と進行中。いつもなら11月半ばに始まるクリスマス商戦が、ロックダウンの影響で半月ほど遅れたため、週末のデパートにはプレゼント探しやクリスマスデコレーションを見ようというお客さんが殺到。紙袋をたくさん提げ、あれこれ品定めする姿に「クリスマスは特別!」というフランス人の意気込みを感じます。お花屋さんのツリー、雑貨屋さんのオーナメント、教会のキリスト生誕を再現したクレッシュ……「ああ、12月だなあ」と思う光景です。
私が密かに心待ちにしているのが、商店街のイルミネーション。狭い道に向かい合うアパートの窓にワイヤーを付け、照明を飾ります。その素朴さが好きなのですが、聞いた話では「ここに商店街の財力が見える」のだそうで、確かにブランド街は豪華な飾りつけ。ただ、今年はイルミネーションを行わない通りもちらほら……。さらに、絶対的な存在感を見せていたホテルや広場の大型ツリーもまだ設置されていません(12月上旬現在)。でも、何はなくともクリスマス。ちょっと浮かれた人々と、ぱっと輝くパリの街は、今年も健在です。