夫と集めたアートや本が彩る、30年暮らすアパルトマン。パリ在住シニアモデルのくつろげる部屋(後編)

ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回はパリで暮らすモデルのリズ=ロッテ・エルヴューさんのお部屋です。

前編はこちら

間取り

約80平米。廊下を挟んで左右に部屋がある使い勝手のいい家。長女が同じアパルトマンの違う階に暮らしている。

たくさんの本が、まるでオブジェのよう。

ギャラリーのオーナー時代に集めたアート作品を壁に飾って。裸足でも気持ちがいいジュート素材のカーペットを敷き詰め、ソファの下の部分も同じジュートで統一感を。花は欠かさず、飾っている。

夫と暮らしていた時は、しばしばアートを探す旅に出かけていたそうです。

「イタリアやニューヨークへ夏のバカンスに出かけた際は、旅先で出合ったアートやオブジェを持ち帰りました。それらはインテリアとして大切に使っています。私にとっての旅の記憶=楽しい思い出を飾っていることになります」

ふたりの共通の趣味だった膨大な数の本も、今や立派なインテリアの一部。トレーの上に積み上げてみたり、暖炉の上に対に積み上げ、その上にアートを飾ったりと、さりげなくスタイリング。

「若い頃は極度のミニマリストで、すっきりとしたインテリアが好みでした。結婚→出産を経て、次第にものが増えていきましたが、アートと本のある暮らしのスタイルは昔から変わりません。たとえ本やオブジェ、アートにあふれている部屋でも、静かな雰囲気が漂うインテリアはキープできていると思います」

デンマークデザインの照明と旅先で集めたオブジェやカードを、本や植物と自由に組み合わせて。

ロンドンでひと目惚れした鮮やかなブルーのコートを、ビーダーマイヤーの椅子に掛けて。

現在はミニマリストな自分に戻りつつあり、極力新しいものは増やさないようにしています。

「表に出している本は美意識にこだわって置いてあるものばかり。装丁や形が美しくないものは、たとえ好みの本だとしても、見える場所には置きません。やはり美しいもの、好きなものに囲まれている生活こそが、私自身が思い切りくつろげますから」

一見、多くのものに囲まれつつも、すべてが計算されたくつろぎの空間です。

エントランスには、重厚な質感のマホガニーのチェストを。その上にはモノクロの絵を額装して飾っている。

ベッドルームは静かな色合いでまとめている。壁にかけたのは、友人が描いた抽象画。寝る前に必ず本を読むので、照明は必需品。アンティークの台にランプを組み合わせたオリジナルのライト。

PROFILE

リズ=ロッテ・エルヴュー/Lise=Lotte HERVIEU

コペンハーゲン生まれ。パリ、モスクワ、ニューヨークなどで暮らし、再びパリへ。フランス人の男性と結婚し、ギャラリーを10年間経営後、現在はシニアモデルに。

『クウネル』2024年7月号掲載 写真/篠 あゆみ、コーディネート/鈴木ひろこ、取材・文/今井 恵

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