名作はここから生まれる。漫画家・ヤマザキマリさんの感性を刺激する創作部屋とは?【前編】

作品が生み出されるクリエーターの住まいとは?今回は漫画『テルマエ・ロマエ』で知られるヤマザキマリさんの創作の場であり、暮らしのベースでもある東京のご自宅に伺いました。

PROFILE

ヤマザキマリ/やまざきまり

イタリアの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。『テルマエ・ロマエ』で漫画賞を多数受賞。『人類三千年の幸福論』(集英社)など著書多数。今秋、本誌連載が書籍化。

創作意欲を生み出すアーバンと自然が融合する空間

コロナ禍が世界中の暮らしを変えたように、ヤマザキマリさんの生活もここ数年で変化しました。これまでは東京とイタリアの家を一カ月おきに行き来していましたが、最近では東京の比重がぐっと増えたそう。

「数年間、海外に出られなかったことで、東京での仕事が増えたことが理由の一つ。また、一カ所とどまり系の面白さを発見したというか……。ずっと同じところにいるからこそ、入ってくる情報、見えるものがいろいろあって面白いと思うようになりました」

ルイス・ポールセンのライトが灯るダイニングスペース。花を飾ることが多く、点在する植物とともにいい「気」を発している。

夫と暮らすイタリア・パドヴァの家とは違い、東京では単身暮らし。創作や執筆により没頭できるといいます。また「自分らしさ」が反映されているのも東京の家のほう。イタリアの古い家は、家具も先祖代々から受け継いだものを使っていて、好みを挟む余地はないのだそう。

だからこそ、東京の家はヤマザキさんの好きなもので満ちています。目を引くのは、有機的な形が美しい木のテーブルやチェア。「新しく住まいを構えるなら、絶対にここのもので」と憧れていたイタリア・ポラダ社のものです。

そして、壁を彩るのは多彩なアート。自身の作品もあれば、旅先で出会った絵画、衝動買いしたものなどさまざまです。「作家名とか、ジャンルに拘らず、直感力に判断を委ねてきました」(後編に続きます)

廊下にもアートが。パリの古書店で見つけた大好きな昆虫の載った雑誌の切り抜き。

仕事部屋には油彩の道具が並ぶ。「仕事場はほの暗いです。昔はろうそくの光の中で描かれた油絵。明るすぎてはダメなんです」

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『クウネル』9月号掲載 写真/加藤新作、取材・文/鈴木麻子、編集/河田実紀

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『クウネル』No.122掲載

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