週末は山と海。東京と葉山で二拠点生活をおくるフラワーデザイナーの振り幅を楽しむ暮らしとは?【前編】

日々をより輝かせるため、生活の場所を2カ所に持つ人が増加中です。東京・青山と神奈川・葉山で二拠点生活をおくるフラワーアーティスト・市村美佳子さんもその一人。店舗の花装飾、雑誌や広告などで幅広く活躍する市村さんの葉山のご自宅にお邪魔しました。

PROFILE

市村美佳子/いちむらみかこ

フラワーデザイナー。『緑の居場所デザイン』主宰。東京・南青山のアトリエで花教室を開催するほか、フラワーアーティストとして店舗の花装飾、雑誌や広告などで幅広く活躍。

週末は海と山でリフレッシュ。振り幅を楽しむ暮らし

逗子駅からバスで20分あまり。週末は海を訪れる観光客で混雑するバス通りから、山に向かって延びる細道を登っていくと、途中から冷んやりと澄んだ空気に変わるのを肌で感じます。東京・青山に暮らすフラワーデザイナーの市村美佳子さんが、週末に過ごす小さな家を葉山に借りたのは、約3年前のこと。

「いつか山の家で暮らしてみたいという夢があり、ずっと探していたのですが、なかなか良いところが見つからず……。そうこうしているうちにコロナで遠出ができなくなってしまいました。そんな時、葉山に引っ越した花屋を営む友人が『花市場まで通えるし、ストレスなく都内の仕事ができる距離』と言っていたので、今の生活を変えずに田舎暮らしを楽しむ練習として、葉山ならちょうどいいかなと思ったんです」

立地が気に入って即決したという小さな家が建つのは、鳥のさえずりが響く静かな山の中。憧れていた山の家を、海の街で見つけた市村さん。

「家から10分ほど坂道を降りていくと観光客のいない静かな海岸があるのですが、夏の間は朝と夕方、2回海に入ります。地元の子供たちと一緒に泳いだり、仲良くなった漁師さんのワカメ漁のお手伝いをすることも。今まで海は眼中になかったのですが、住んでみたらすごく楽しい!」

お気に入りにの布やアートで自分らしく心地よい空間に

観光客がほとんど来ないローカルな海岸までは歩いて10分ほど。夏の間は朝晩海に入ったり、漁師さんのワカメ漁を手伝ったりとアクティブに過ごす。

一階はキッチンまでひと続きのダイニングスペース、陽あたりの良い2階には寝室と居間というコンパクトな間取り。築60年ほどのレトロな空間に、着物やストールなど様々な布をアレンジした手作りのカーテンや、さりげなく飾られたアートがなじみます。

「家具はほとんどがいただきもの。インテリアにこだわりはありませんが、青山の家は20年以上住んでいるので、また一からの部屋作りを楽しみました」

明るい光と心地よい風が差し込む2階の居間スペース。晴れた朝はベランダでコーヒーを飲んだり、ソファで本を読んだりするのが至福の時間。

海で知り合った地元の方と友人の3人で開墾した小さな畑。現在は数人の友人たちとシェア。ご近所から苗をもらったり、畑を通じての交流も楽しい。

月曜から木曜は都内で仕事。木曜に車で葉山に向かい、金土は山と海でのんびりリフレッシュ。日曜に都内に戻り、また新たな1週間に備えるのが理想的と語る市村さん。

「ネットも引いてないし電波も悪い。この家では、のんびり気ままに過ごすことが多いですね。魚市場や道の駅で買った新鮮な食材でゆっくり料理をしたり、都内から遊びに来た友人と合宿みたいに夜中までおしゃべりしたり。念願の畑も始めたのですが、私は農耕民族かと思いきや、狩猟民族だったみたい。育てて採取するより、山で山菜を見つけたり海で魚を獲ったりする方がテンションが上がります」

フラワーデザイナーとして活躍する東京でお会いする時とはまた違った、夏休みの少女のような溌剌としたオーラを放つ市村さん。葉山での暮らしを心から楽しんでいるようです。

2階の廊下には、刺繍アーティスト沖 順子さんの刺繍が施されたジャケットを飾って。カーテンは、ヴィンテージのストールをアレンジしたお手製。

無機質な冷蔵庫のまわりには、お気に入りのアーティストのオブジェや花の写真をディスプレイ。レトロな空間に多彩なテイストのアートがしっくり。

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『ku:nel』2023年9月号掲載 写真/大森忠明、取材・文/吾妻枝里子

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『クウネル』No.122掲載

やっぱり、家が好き!

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