スタイリストに学ぶ“工夫と片付け”で叶えるコンパクトな住まいの作り方【寳田マリさん・後編】

もっとコンパクトに!きれいにすっきりと暮らしたい……。多くの人が持つ暮らしへの願いですが、意志も環境も未だ整わず、という 人も多いのでは?今回は素敵に悠々とコンパクトライフを送るスタイリスト・寳田マリさんのご自宅訪問の後編。暮らしに変革を起こすヒントを見つけてください!

PROFILE

寳田マリ/たからだまり

スタイリスト。30年以上に渡り活躍中。多くの俳優、歌手がスタイリングに信頼を寄せる。Instagram:@mari_takarada では愛猫・ちび尾君の姿もアップ。

ミニマムな中で収納内の整理も飾ることも楽しむ

決して広くないスペースで、無駄なくすっきり暮らすには?寳田さんは構えず、でもさりげないこだわりでコントロールしているようです。

「インテリアを考えるのは好きなんです。飾ることも楽しみたいし。多くは置かないけれど好きなものにも囲まれていたい。さらに、家具などは部屋に合うものを厳選しますね。素材、デザインに圧迫感のないものを選ぶとか。例えばガラスのテーブルは冬は冷たくてマットが必要ですし、手垢もつくので掃除も欠かせず面倒なのですが、印象の軽さは部屋にぴったり」

ソファの両脇にディスプレイ台のように控えるスタイリッシュな段ボール製スツール、テーブルがわりのアンティークの韓国飯台ソバンも、素敵なのに主張は強くない点が共通。

リビングには祖母の形見のクラシックなミシンが。猫グッズも最小限に抑えている。

愛猫が縦横無尽に歩き回れる障害物のない床周り。ガラスの天板は確かにライトな印象。

ところでそもそもスタイリストという仕事柄からすると、ものに囲まれ家財も多いイメージですが。

「40代後半、仕事がひと区切りついた時期にそれまで仕事漬けで走ってきた生活のスピードを思いきって切り替え、必要なものも洗い直したんです。事務所として借りていた部屋を引き払い、仕事関係の衣料は2人の服と合わせクローゼットに収まる量に整理しました」

夫婦の今着ている服、いつか着ようと思う好きな服、仕事で必要な小物やシューズ類などが収納しきれています。

クローゼットの靴は仕事用で、衣類は多くが夫婦のもの。コート類はスカーフで覆ってまとめている。

ベッドルームの和箪笥上の重箱にはアクセサリーを整理してある。

「私としては一番たくさん収納できると思う丸め式で」2人のロックTシャツを。開けるのが楽しい収納に。

段ボール製スツールはソファの袖に対で置いて。その上には陶芸家の弟の作品や愛猫の絵を。

さらに猫の餌や非常用の水もストック。引き出しや小物入れも配置してビシッと収まり、下方につけられた猫用通行口の周辺も整理が効いています。

「クローゼットのものに限らず食器や小物も不要だと思ったら誰かに譲る、捨てるという判断は早いのかも。ゴミ箱は家に置かず、毎日捨てに行っています。マンションの利点ですね」

またプラスチック容器の商品はなるべく買わないという寳田さん。細かな暮らし方の選択もごちゃごちゃのない空間維持に役立っているよう。コンパクトで美しいお宅ときれい好き&整理上手の相関関係がさらに理解できます。

「夫は整理ベタ。私は仕事で数日片付けができずに部屋が乱れると落ち着かずストレスが溜まるタイプ。ふだんも起きて2時間くらいは掃除とか片付けをしている気がします。あんまり座っている時間はなくて片づけること自体がリラックスになるのかな、たぶん」

カウンターと食器棚は元々の設備。たくさん持っている器も食事の度にすぐ洗い拭いて戻す。カウンターをデスクのようにし書きものもする。

無印で買った竹箱に直近の仕事の書類全てを収納。

では空間と生活への満足感は今後も変わらないでしょうか。

「今は夫と猫とのんびり暮らせていて楽しいですね。コンパクトに畳んで生活を身軽に保てているのも快適。ただ家に関しては、キッチンやバスルームのリフォームも課題です。そしてもう少し歳を重ねたら、カリフォルニアのバークレーに家を借りて暮らしたいという夫婦の夢もあります」

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『ku:nel』2023年9月号掲載 写真/加藤新作、取材・文/ 原 千香子

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