まるでパリのアパルトマン。元公団住宅でミニマルに暮らすデザイナーのお部屋訪問【後編】

もっとコンパクトに、きれいにすっきり暮らしたい……。多くの人が持つ暮らしへの願い。しかし意志も環境も未だ整わず、という人も多いのでは?今回はパリのアパルトマンのような素敵な空間で暮らすアクセサリーデザイナー・髙野緑さんのご自宅訪問、後編です。部屋づくりのヒントがたくさんありますよ!

PROFILE

髙野緑/たかのみどり

アクセサリーデザイナー。アパレルでアクセサリーを手掛けた後、手作りのアクセサリーブランド「midorimade」をスタート。

生活感を抑えながら暮らしに彩りを

高野さんが暮らすのは築60年以上の元公団住宅。小粋さがきゅっと詰まった部屋のイメージは、1980年前後に長期滞在したパリのアパルトマンだそう。

家電は取捨選択を徹底し、家具は利便性を重視しました。

「冷蔵庫は置きたいスペースを測ってからジャストサイズを購入。電子レンジやトースター、炊飯器はガスレンジで事足りるため手放しました。ダイニングテーブルはアクセサリーを作るときの作業台も兼ねるように、ファミリータイプの大きめサイズを選択。来客時には向きを変えて、最大7人をもてなすなど活躍しています。寝室にはベッドのみ置いてすっきりとさせ、床の掃除を楽にしました」

収納家具は寝室に、扉付きのクローゼットが左右の壁面に作り付けてあるため不要です。二面合わせるとかなり大容量のクローゼットは、部屋を借りる決め手にもなったスペースで、ファッションが大好きな髙野さんの全ワードローブを受け入れてくれる頼もしい存在です。

一見ミニマルな暮らしですがストイックではなく、チャーミングなセンスがそこかしこに散りばめられています。例えばダイニングルームにも、ディスプレイセンスが光ります。

パソコンデスクは40年選手のバタフライテーブル。おしゃれ好きに必須の姿見もジャストサイズをセレクト。

食器棚にしているキッチンカウンター内は、コの字型木製ラックで収納力アップ。この隙間家具は自作。

「棚と箱で作った飾り棚のような一角に、パリの地図や蚤の市で求めたトレー、思い出の写真、拾い集めたハート型の小石、レコードコレクション、鉢植えなど好きなものを並べています」

壁面には親交の深いイラストレーター・こぐれひでこさんから届いた絵はがきを、ガーランドのように賑やかに飾り付けました。

「竹製のクリップで挟んでから、虫ピンで張ったテグスに吊るしています。味気ないクリップや画鋲よりもかわいいでしょう?」

素敵な空間を保つために、生活感を抑える工夫もしています。片付けを徹底する、派手なパッケージの日用品などは隠す。またゴミ箱は小さなサイズを選んで毎日ゴミ出しするなど、散らかる原因を作らないために習慣づけています。

ワードローブはアイテム別・着丈別にまとめて収納。パリまで一緒に旅した年代物のスーツケースは、空のままにして上げ下げしやすく。

集めているミシュラン ビバンダム。ベランダに外物置もあり洗剤などストック中。間近に花壇があるのも嬉しい。

「窓の外のベランダも和めるんですよ。夏はここに椅子を出して、ビールを楽しむことも。築年数が古い集合住宅なので、中庭の花壇や植え込みはどこか昭和レトロ。その長閑な雰囲気も気に入っています」

キッチンの窓辺には真鍮製の一輪挿しが。「可憐な花が好みです」

重厚なブラウンの壁と床に対し、寝具は通年ホワイトで爽やかに。模様が入った昭和なすりガラス窓、ガラス製のエッフェル塔にも癒やされる。

髙野緑さんのYouTube動画も公開中!

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『クウネル』2023年9月号掲載 
写真/山崎智世、取材・文/間中美希子、編集/原千香子

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