【木村多江さんの人生を変えた本】父の死から10年、仕事も人もポジティブに捉える習慣がついた一冊とは
ふとしたきっかけで読んだ本が、その後の生き方に大きな影響を与えていたり、転機になったり......。第一線で活躍している俳優・木村多江さんが運命の出合いをした本について伺いました。
PROFILE
木村多江
日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など多数受賞。ドラマ、映画など幅広く活躍している。
幸せのハードルを下げていいと、自分を許せるように
21歳のときに父が亡くなりました。私に対する心労から父は亡くなったのだ。だから私は幸せになってはいけない。20代はそう思いこんでいました」
木村多江さんの話に驚きつつも、幸せになってはいけないとは?
「家族を不幸にした私は幸せになる価値はない。何事も完璧でなければいけない、そんな風に思い、自分に負荷やストレスをかけていましたね。大好きなお芝居も完璧を目指し、監督からOKが出てもダメだと自分を責める。お芝居以外でも自分に厳しすぎて、反省と後悔で押しつぶされそうでした」
30代になりその考えが一変します。
「父の死から10年が経ち、父は本当は私が幸せになることを望んでいるんじゃないか、と思ったんです。その頃出合ったのがこの本でした」
脳科学者茂木健一郎さん訳の『脳にいいことだけをやりなさい!』。〝脳は嫌なことをよく覚えていて、良いことを忘れてしまう〟といった内容にハッとし「この脳の仕組みに勝とう!」と、木村さんの中でスイッチが入ります。
また〝ポジティブな回路を作る〟という内容にも刺激され、「雨は嫌だ、でなく、雨で木々が喜ぶ様子を想像する。タイトな仕事現場でもお弁当の話で盛り上がる。小さな幸せを見つけるのが上手になりました。自分がハッピーだと相手もハッピーになることにも気づいて。自然と〝ねばならない〟から〝してもいい〟に変わっていました」
まさに人生を変えた一冊の光明。「本は平面ですが、頭の中で物語が動き出し立体的になる。その感覚を味わいながら、学び成長するため、これからも本との出合いを楽しんでいけたら」
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『ku:nel』2023年1月号掲載
写真/須藤敬一、取材・文/近藤理香、ヘア&メイク/土谷侑子『FACE-T』、編集/河田実紀
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『クウネル』No.118掲載
私の人生を変えた本
- 発売日 : 2022年11月18日
- 価格 : 980円(税込) (税込)