【フランス人の生き方】子供が独立し一人暮らし。代々受け継がれる「器」が紡ぐ家族の絆

「古くなる=価値が下がる」でなく、「古いものにこそ価値を見出す」のがフランス人の豊かさ。今回はアパルトマンでひとり暮らしを満喫するフランス人女性が、長く使い続ける器のお話をご紹介します。

PROFILE

クロチルド・パリゾ/Clothilde PARISOT

ザ ペニンシュラ パリ」コンシェルジュ
子供ふたりは独立し、マレ地区の中心にある見晴らしのよいアパルトマンでひとり暮らしを満喫。最近、ペルシュ地方にセカンドハウスを購入した。

母から私、そして娘へ。家族が受け継ぐ器

インテリアのセンスに長け、クウネル誌面に何度かご自宅を公開してくれたクロチルド・パリゾさん。

「昔からものの選び方は変わっていません。好きなものを少しだけ買って、それに合うものを選んでいくうち、自分のスタイルができてきました。不必要なものは買わないし、出会いやストーリーを大切にしているので、家の中にあるものすべてに思い出があります」

どちらもクロチルドさんの母が描いた絵皿。左は10歳の誕生日にもらった鳥の絵の皿。右が兄弟で取り合いをしたという花の絵の皿。今はどちらも使わず絵皿として飾っている。

クロチルドさんが、最も大切にしているものとしてテーブルウエアを披露。

「母は画家でした。鳥を描いたお皿は、母が私のために描いてくれて、10歳の誕生日に贈られたものです」。やさしげなタッチと淡い色使いに、母から娘への愛情が感じられる絵柄。

「兄弟みんながそれぞれ描いてもらったお皿を持っているんです。今まで5回ほど引っ越しをしましたが、このお皿はどの家でも大切に使っています」

花の絵皿も母が描いたもの。「両親が老人ホームに入る際に家具などを譲り受け、4人の兄弟で分けたのですが、仲がよくほとんど揉めないのに、このお皿だけは喧嘩になりました」

モダンな黒の皿は、小さい頃家族で出かけた陶芸家がたくさん暮らす街で購入したもの。前菜やデザートの焼き菓子、フルーツなどが映えるそう。Pouchintという作家の作品。

両親が結婚した1957年にオーダーして作ってもらった母のイニシャル“LP”が入った食器セット。母から譲り受け、兄弟で分けたもの。「母は料理上手で一度に25人を招待してもてなせるほどでした。私も料理好きなので、友人が遊びにきた時は、スープボウルにスープやサラダを入れたり、日常的に使っています」

いずれクロチルドさんの持ち物も子供たちへと受け継がれるのでしょうか。

「少しずつ譲っています。最近、パリから車で2時間ほどのペルシュ地方に田舎の家を買ったので、しばらく器のストックはそこに保管するつもりです」

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『クウネル』No.120掲載

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