3年前に南仏のユゼスに越して、以前から友人だったフレデリック・ペトラッカさんと家をシェアして暮らすフローレンス・ブノンさん。そんな彼女の幸せの形とは?
Florence BENON/フローレンス・ブノン
56歳・アートギャラリー経営者
ブルゴーニュ生まれ。リヨンでは薬剤師、パリでは資産管理会社の仕事を経て、2019年にユゼスに移住。Instagram:@galeriedeluzege
南仏の最も美しい街と称される、ユゼスへの移住
「パリでは飲食業のマネージメントをしていたフレデリック。友人の結婚式で知り合い、友人になりました。2015年のパリ同時多発テロがきっかけで、私たちと友人でマヨルカ島に別荘を持ち、週末は大自然の中で過ごすことで心のバランスが取れていました。
でもコロナでマヨルカへの渡航が困難になり、手放しました。そこで私は思い切ってユゼスに引っ越しを決め、その手伝いに来たフレデリックまでこの街を気に入り、それならばと私の家で同居することになったんです」
ユゼスは人がやさしく、文化的な要素と自然の美しさがある街。ここに住み、家族がいなくとも信頼できる友人がいる暮らしを幸せだと気づいたそう。
「私は7人兄弟姉妹の大家族に育ちながら、バカンスや外食、季節の行事も一切しない “生きる楽しさ” がない環境で育ちました。だから18歳で独立し、 家族とは交流がありません。
フレデリックは、ユゼスにアートギャラリーを開設する際、私にも声をかけてくれて仕事でもパートナーになりました。
たわいのない会話が楽しく、幸せ
ギャラリーで食前酒を飲みながらアートを鑑賞してもらう “アートアペロ” というイベントを始め、通りすがりの人にも声をかけ、人と人が繋がっていく楽しさを知りました。その縁あってか、本当に幸せな暮らしが実現しました」
フレデリックさんは同性愛者ゆえに、 お互いの生活には干渉せず、恋愛も自由。でも必要な時は助け合う信頼関係の上に成り立つ友人です。
「私たちはパンクカップル。独身者同士の新形態でもありますが、間違いなく新しい家族の形でもあるんです」
写真/篠あゆみ コーディネート/鈴木ひろこ 文/今井恵 再編集/久保田千晴