【宮本典子さんの好きなこと】迷いごとがあるとき毛糸を編むと、気持ちが穏やかになります

宮本典子さんの好きなこと

好きがこうじて、 新しいこと始めました。好奇心のアンテナを磨いて、新しいことにチャレンジし始めた素敵な人のストーリーをご紹介

お天気が良い日はモバイルニッティング。カフェや公園のベンチで編み物をするのも楽しいひととき。
協力 JOLT the COFFEE

「手仕事に対する憧憬がずっとありました。中でも編み物は、少女時代から時折していましたが、難しいところになると放り出して、母に渡して仕上げてもらっていました」と語る、 宮本典子さん。

時は流れ、いつまでも母親を頼るわけにはいかないと、思い切って近所の編み物教室に通い始めることに。先生の厚意で、好きな時間に行けるのも忙しい宮本さんには続けやすく、大きなメリットでした。

「孫が生まれたことも、編み物に向き合うきっかけのひとつに。小さいものはすぐ編めるし、可愛いから、編みたい気持ちが膨らみます。私にとって編み物は、作品を作り出すことに楽しみを見出すというより、編むという行為そのものに魅力を感じているのだと思 います。その結果、セーターや靴下などの作品もできるから一層うれしい」

ザ・マインドフルネス・イン・ニッティングの本とデザイン本が並んでいる
デンマーク語の本は読めないが、デザインや色使いを参考に。 左が『ザ・マインドフルネス・イン・ニッティング』の本。
宮本典子さんの編み物セット。毛糸などがかごに入っている
宮本さんの編み物セット。いま編んでいるのは自分用のカー ディガン。海外の毛糸の独自の色合いに心惹かれる。
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宮本さんは、かつてイギリスでマイ ンドフルネスを学んだ経験があります。編み物を始めて、その効果があるので はないか、と思い調べたところ予感は的中。『ザ・マインドフルネス・イン・ ニッティング』という本が見つかりま した。

「私自身も迷いごとや落ち着かない気持ちを抱えている時に、編み物がしたくなります。最初はシンプルなメリヤス編みなどが良いと思っていましたが、 複雑な編み図は間違えないように集中して編むことで無心になり、心の中が静寂になります。また、こんがらがった糸をほどく作業は根気がいりますが、ちょっとカウンセリングに似ているな、と思う瞬間があります」

4年ほど前からフリーランスのカウンセラーとして活動。1日中移動しながら仕事をする日は、エコバッグに毛糸と編み棒を入れて出かけ、〈モバイルニッティング〉を楽しみます。

\プレゼントとして贈りました/ 

祖母に編んだというパープルのケープ
【For grandmother】109歳の祖母に編んだケープ。顔映りも美しく見えるパープルは、部屋着の上に羽織るだけでおしゃれに変身。
子供の用の紺の上着と帽子
【For grandchild】3歳の孫へのプレゼント。帽子は完成が遅れ、仕上がったときには既にキツキツ。子供の成長は早い。
紺と鶯色のスヌードと白いソックス
【For friends】編み物教室へ通う前に作ったスヌードとソックス。すぐ編みあがる小物類は、プレゼントに作ることも多い。
宮本典子さんが自分のために編んだ白いカーディガン
【For myself】編み物上手の友人に教わりながら編んだカーディガン。 自分用だったが、仕上がってみるとやや小さく……。
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「軽くてそれほどかさばらないニット道具は、携帯にも便利。いつでもどこでも編み物ができ、仕事の合間の気分転換になります」

編み物を始めたら、今まで外出先のところどころで生まれた隙間時間が、一気に充実した時間へと変わりました。

「妹がデンマークに住んでいるのですが、冬の長い国では編み物や手芸、手仕事が盛ん。街の中に小さくて可愛らしい毛糸屋さんが多く、お店の真ん中にはテーブルがあり、近所のおばあちゃんたちが編み物をしているんです。 いつか長期滞在して、そのテーブルに加わって編み物をするのが夢です」

『クウネル』2022年7月号掲載

写真/森泉 匡、取材・文/高橋敬恵子、齋藤優子、船山直子

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