好きなことを好きな仲間とシェアしたり、仲間がいるからこそ新しい趣味に挑戦したり。学生時代の同好会のように趣味でつながる空間は、とっておきの笑顔であふれていました。仕事や家庭に追われる中でも「好きなこと」を大切にしている素敵な人たちをご紹介。
松井陽子/まついようこ
エディター・ライター
人気エディター・ライターとして女性誌やカタログで活躍。藍染め師である夫が手がけるブランド『LITMUS Indigo Studio Japan』では商品プロデュースも手がける。
無心で波に乗ることで、忙しい日常をリセット
鵠沼海岸のショップ『カリフォルニアジェネラルストア』は、 その名の通り西海岸カルチャーがコンセプト。友人の秋山晃二さんが勤務しているとあって、ご近所に住むライターの松井陽子さんもこの店の常連。
サーフィン仲間の大内佳子さんと愛犬ムーン君も集まり、開放的なウッドテラスでサーフィン談義が弾みます。松井さんと大内さんのお宅はなんと徒歩1分。息子さんが同級生という縁で知り合ったお二人はサーフィンが共通の趣味ということもあり意気投合。今や親戚のような気兼ねない関係なのだそう。
朝型の松井さんが朝に弱い大内さんをLINEで起こし、自転車で早朝の海へ。海の中ではそれぞれ波に集中し、海から上がったら「いい波だったね」と笑い合う。
それぞれの夫や秋山さんが加わることもあるそうです。秋山さんは、ボードの購入やメンテナンスの相談に乗ってもらうなど、頼りになるサーフィン仲間。
「近所に心を許せる友達がいて、共通の趣味を楽しめることが何より幸せ」 と語る松井さん。ライターとして撮影や取材、そして執筆をこなしつつ、3人のお子さんを育てる忙しい生活の中で、 海でリフレッシュすることが結果的に仕事の効率化にもつながっているそう。
「仕事や家庭のことでミッションに追われていることも多いけれど、海に入るとリセットできる気がします。頭を空っぽにして波に乗ることだけに集中する時間が、私にとってはとても大切。 本当に忙しい時は3本だけって決めて入ることもあるくらいです。そのほうがずっと仕事に向き合っているより効率も上がるし、穏やかでいられる。そしてどうせ海に入るなら、一人より仲間と一緒のほうが楽しい」と笑う松井さんに、二人も大きく頷きます。
「都心とは流れる時間も不思議なほど違っていて、海が身近にある今の生活は、心穏やかでいられます。まわりも自分のペースが確立できている人が多いので楽なのかもしれません。サーフィンとの出会いが、人生をより豊かなものにしてくれたと感じています。家族や気のおけない仲間と一緒に、この先も心地よいペースで続けていきたいです」
『クウネル』2022年7月掲載
写真/村松巨規 、取材・文/吾妻枝里子