悠々と60代を送る魅力的な女性たちに、どんな気持ち、スタイルで幸せと仲良くしているのか、お聞きします。
Happy Habit:
映画出演での練習がきっかけ、ピアノの世界に夢中。
10代での映画デビューからずっと、華やかにかつ着実に活躍を続けている原田美枝子さん。この夏は、連続テレビ小説のレストランオーナー役で注目され、現在、主演した新作映画『百花』が公開中。そんな原田美枝子さんが、幸せのキーのひとつとして教えてくださったのは、ピアノです。
映画で、原田美枝子さん演じる女性はピアノ教師。ピアノを奏でる情景が、演出に大きな比重をもちストーリーを支えています。
「『百花』の撮影のためにレッスンを受け始めたのが、1年半前。音色も好き、包まれていると心地よくて……。楽譜が読めないので一音ずつ重ねてようやく和音になって、「なんてきれいな和音!」って、いちいち感動しました。
最初、同時録音かもと言われ必死に練習しましたが、どんどん好きになって、撮影が終わってもずっと続けています」
『百花』
記憶を失っていく母に向き合う息子は、母とは反対に思い出を蘇らせていく。そして母の「秘密」をすることになる。川村元気監督が自身のベストセラー小説を原作に原田美枝子、菅田将暉のダブル主演で映画化。出演は長澤まさみ、永瀬正敏他。
9月9日(金)~ 全国東宝系公開中。©2022「百花」製作委員会
ここから先は自分のために 生きるぞ、と思うように
「3歳ずつ違う3人の子育ては長く続きましたし、両親はだんだん年老いていろいろたいへんでした。8年前に父が亡くなり、認知症になった母を昨年見送りました。60代、あとは自分で人生の仕上げをしていく時期だと。どう学びながら生きていくんだろうと考えたら時間もあるし、自分が楽しむために使っていいんだなと思ったんです。」
「残りの人生を逆算できるのが60代。明日死にますよと言われても、大丈夫ですと返せる生き方をしたいです。面白おかしく。片付けもしなくては!楽しみのためのものは残しますが」
最後に幸せを感じる瞬間について改めて尋ねると、
「自分という“かせ”からぽーんと外れられたような瞬間、幸せを感じます。本来自由なんだなって」
という答が。原田美枝子さんの笑顔がさらにふんわりとするように見えました。
原田美枝子/はらだみえこ
ドラマ・映画・舞台と幅広く活躍。黒澤明監督『乱』など数々の名匠の作品に多数出演。NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』に出演。自ら監督した母の記憶にまつわる短編ドキュメンタリー映画『女優 原田ヒサ子』がNetflixで独占配信中。
写真/ND CHOW スタイリング/坂本久仁子 ヘア&メイクアップ/黒田啓蔵 Iris 取材・文/原 千香子 撮影協力/スタインウェイ&サンズ東京 再編集/久保田千晴
ワンピース・手に持ったストール(ともにバンフォード/三喜商事) ピアス・ブレスレット・各リング(以上ベルシオラ/エーアンドエス)