今年3月にエッセイ集『フランスの小さくて温かな暮らし365日』を出版したばかりの、荻野雅代さんと桜井道子さん。おふたりは、フランス・パリにまつわる情報サイト『トリコロル・パリ』を運営しています。フランスに暮らして約20年。エッセイでは、日常生活の中で気づいたことをたくさん綴っています。
『フランスの小さくて温かな暮らし365日』の紹介記事はこちらから
ページを開くだけで、一気にフランスの空気を感じる本書。フランスと日本の文化や生活スタイルなど、さまざまな違いを楽しみながら読んでいるとまるでフランスで暮らしているかのような気分に。
今回、著者のふたりに日仏の違いについて尋ねると、長年暮らしたからこそ語れるトピックスが満載でした。
他人に無頓着!?
他者がどう思うかあまり気にしないフランス人
「フランスでは他人が何をしているかあまり気にせず、良い意味で無頓着なので、日本に比べて周りの視線をあまり気にしません。自分にも他人にも甘めで、ゆるい空気感のおかげで気楽に過ごせている感じがします」(桜井さん)
本の中でも、結婚への価値観や職場でのバカンスの取得の仕方などからも、他人にはあまり執着せずさっぱりしていることが綴られています。街中で芸能人とすれ違っても全く動じないエピソードも。
「若見え」は誉め言葉じゃない!
年齢に縛られないフランス人
「他人に無頓着、というエピソードにも通じるところがありますが、フランスでは年齢という数字に縛られない人も多い印象です。もちろん、若く美しくありたいと願う気持ちから、スキンケア商品やサプリなどへの関心も高いです。ですが、実年齢が50代なのに40代や30代に見えるのが良い、という褒め言葉や価値観はあまり聞きません」(荻野さん)
フランス語では「先輩」「後輩」のような言葉はなく、さらに「同じ年」「同期」という意識がほとんどないことも本の中で綴られています。若くあり続けることと、実年齢は別問題。ついつい年齢に囚われてしまい、若く見られたい日本人にとって、なんだか羨ましくも感じます。
「本では書けなかったのですが、フランス人女性が日本人女性に憧れているところもたくさんあるんですよ。日本人はシワができにくく老けにくい、みんな細身というイメージを持っています。また、“生きがい”や”ZEN”のような日本由来の考え方も支持されています」(荻野さん)
どうやら、日本人が一方的にフランス人に憧れているだけではないようでした。また、本の中でも、フランスで有名な日本人がずらり紹介されているページもありました。
ときどき恋しくなる。
改めて思う、日本のいいところ
「もちろん日本が恋しくなることもあります。コンビニ、 野菜たっぷりの料理 、温泉やマッサージ……挙げればキリがないですが、日本は治安の良さと公共の場の清潔さが素晴らしいですよね」(荻野さん)
海外旅行をすると、日本の治安の良さと街の清潔さを痛感しますが、やはりそれはふたりも同じようです。
「パリも20年前に比べると、道に落ちているゴミや犬のフンは減っているようにも感じますが日本に比べるとまだまだ。住まいや服装はきちんと清潔にしているフランス人なのに、みんなが共同で使う場所に関してはあまり気にしていないというのが不思議です(笑)」(荻野さん)
「あと、日本は利便性を追求するところも素敵。例えば、フランスは食品パッケージのひとつとっても不便に感じる場合が多いです。デザインは洗練されていて素敵なのですが、使いやすい工夫が施されているものは多くありません」(桜井さん)
フランスのスーパーに行くと、ジャムの瓶やお菓子の箱などの食材のパッケージの可愛さに惚れ惚れすることも多いですが、利便性よりもデザイン性を重視してしまうフランスらしいトピックスでした。
他にも、現地に長年暮らすふたりだからこそ書けるトピックスがたっぷりの本書。ぜひフランスでの暮らしに想いを馳せながら、読んでほしい一冊です。
トリコロル・パリ
荻野雅代さんと桜井道子さんによって運営される、パリとフランスにまつわる情報サイト。最新ニュースやカルチャー、旅行・観光情報をはじめ、さまざまな情報を発信している。毎日のパリの天気と気温を服装で発信するコンテンツも人気。
『フランスの小さくて温かな暮らし365日 〜大切なことに気づかせてくれる日々のヒント〜』
フランス在住の日本人ふたり組・荻野雅代と桜井道子の『トリコロル・パリ』による、初のエッセイ集。今年3月に発売後、「フランスを身近に感じる」「旅行した気分」と、たちまち人気の一冊に。現在5万部発行。
著者:トリコロル・パリ
定価:1,700円
判型:B6変型
頁数:368頁(カラー)
出版社:株式会社自由国民社