テーマのある旅は楽しい。美術作家・岡美里さんのモザイク・タイル壁画に出合う旅

自分の好きをとことん極めた“テーマのある旅”は、旅先の風景や人との出会いまでも、特別なものにしてくれます。偏愛たっぷりの旅を楽しむ、美術作家 岡美里さんにその魅力を伺いました。
テーマがあると旅はもっと楽しくなる。モザイク・タイル壁画推し旅
街歩きや散歩をライフワークとする岡美里さん。ある時、スマホのカメラロールを見返していると、モザイクやタイルの壁画など、“街角で見つけた壁アート”をたくさん撮影していることに気づいたのだとか。
「モザイクやタイル壁画が作られた当初、陶器や天然石、ガラスなどの丈夫で色褪せない素材を使うというのは、革新的な手法だったと思います。欠片で描かれるドット絵のような質感は、どこかデジタル感があり、“未来”を感じさせたのではないでしょうか。建物の一部として作品を刻むことで、『長く残したい』という制作者の強い意志が伝わってきて、ロマンを感じます」
最近では、モザイク壁画の先駆者として名を馳せた矢橋六郎の作品を巡ることが旅の楽しみのひとつ。
「モザイク壁画の保存が盛んな名古屋に注目しています。なかでもCBC会館の『芸術と平和』は必見。画家・北川民次による初の屋外壁画で、矢橋六郎が制作を手がけた作品です。ビルの一角や役所、公園など、誰でも気軽に見に行けて日常に溶け込むアートは贅沢ですね。名作は意外と身近にあります」

名古屋のテレビ局CBC会館。
PROFILE

岡美里/おか・みさと
美術作家
横顔のポートレイト制作をライフワークとして日本各地でオーダー会を行う。Instagram(@ misato_oka)で、町で見かけ たユニークな物事を更新中。
『クウネル』2025年9月号掲載 取材・文/ 阿部里歩
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