旅好き絶賛の北海道白老町。美の複合施設『ナチュの森』と『界 ポロト』の圧倒的なおもてなし
目 次
“体験”を楽しむ複合施設『ナチュの森』へ
まずは、白老町の西部、支笏洞爺国立公園に近く、豊かな自然に囲まれた場所に位置する『ナチュの森』へ。ここは低刺激スキンメーカー「ナチュラルサイエンス」「ナチュラルアイランド」が運営する複合施設です。
化粧品をつくるファクトリーと植物や花を楽しめる庭園がひとつになったここは、ものづくりが学べるラボやミュージアム、エステサロン、カフェ、ショップまでが集まる、“工園”。
なぜ、『ナチュの森』がこの場所に? 理由は『ナチュの森』のすぐ裏手にある「倶多楽(くったら)湖」にあります。カルデラ湖である倶多楽湖の湧水は、日本屈指の透明度を誇る軟水。通常の水道水と倶多楽湖の湧水を飲み比べしましたが、喉越しの違いは明らか! さらに驚いたのは、肌に乗せたらすうっと馴染んでいったこと。
この水が化粧品づくりに最適として、廃校になった中学校の跡地を再利用する形で誕生したのが『ナチュの森』なのです。
では、施設をご案内します。
まずは、校舎をリノベーションした「森の工舎」。植物や花を原料にフレグランスデザイナーが監修した「香りのラボ」、蒸留の仕組みが学べる「蒸留実験室」、約3,000冊の本が揃う「ライブラリー」、さまざまな展示を行う「ギャラリー」のほか、カフェやショップなどが集まっています。教室の間取りや黒板など学校の面影が残されていて、どこかほっこりと懐かしい気分にもなる、素敵な施設です。
北の“縄文”は謎が多くてオモシロイ! 「ナチュの森で縄文にであう展」開催中
「森の工舎」の2Fギャラリーでは『ナチュの森で縄文にであう展』を開催中。
2021年に、北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産に登録されたこともあり、北海道縄文文化にも注目が集まっています。地元の文化とつながる活動として、地元・白老町や登別などから発掘された遺物などを紹介したり、縄文を知るきっかけとなる展覧会を開催することになったそう。
なぜ、ジョウモン??と最初はギモンだったのですが、これが知れば知るほど興味深い内容でした。
北海道における縄文は、狩猟と最小単位のコミュニティで支え合い、特有の文化を持っていたそうです。
豊かな自然ときれいな水のあるところを好んで暮らしていたといわれる縄文人。縄文のムラと「ナチュの森」は似ているのかも…? 縄文時代の暮らしや考えには現代人にも通じるヒントがたくさんあるはず…、といった視点で“北の縄文”が楽しく、分かりやすく展示されています。
展示を見ていくうちに、驚きや発見、想像が膨らみ、どんどん縄文人のことが知りたくなる…という沼にはまっていきました。
「ナチュラルファクトリー」でモノづくりの現場を見学
「ナチュの森」のもう一つの施設、ナチュラルアサイエンスとナチュラルアイランドのスキンケア商品を作る「ナチュラルファクトリー」では、化粧品の製造ラインを見学することができます。
原料の選定、処方、技術開発から製造〜出荷までを自社でおこない、製造の現場は手術室並みの衛生レベルを保っているとか。さらに商品ひとつひとつを人の目と手で確認作業するという徹底ぶり。
見学の際は、工場用のユニフォームに着替え、化粧品ができるまでの工程を工場のスタッフが丁寧に説明してくださいます。
湧水を贅沢に使ったビューティーサロンも
時間がたっぷりある方は、日本一の湧水の心地良さを体験できるトリートメントサロンもおすすめ。
ファクトリーの2階にある「アクアサロン」は、トリートメント、マグマヨガ、スパの3つのサロンがあり、女性限定、完全個室でサービスを受けられます。オリジナルのハーブオイルを使用したトリートメントは、お着替え不要の施術もあるので、ナチュの森滞在中の空き時間にも利用できそうです。
アイヌ文化に寄り添う湯宿『界 ポロト』に宿泊
とんがり屋根の湯小屋で“美肌の湯”モール温泉を満喫
ポロト湖にせり出すように立つとんがり屋根の建物は、湯小屋「△湯」(さんかくのゆ)。温泉は、世界的にも珍しい天然植物由来の有機物を含んでいるモール温泉。
実は『界 ポロト』に泊まりたかった理由の一つが、このモール温泉です。“美肌の湯”とも言われる、地中から湧き出る茶褐色の湯はとろとろとした肌触りで、湯上がりの肌はしっとりすべすべに。
浴室の構造もユニーク。ぬる湯の内風呂と露天風呂がシームレスにつながり、さらに目の前のポロト湖も一体に。まるで湖に漂っているかのような解放感。
また、宿泊棟にはドーム型屋根の湯小屋「○湯」があり、こちらは地中の洞窟のような空間。趣の異なるふたつの湯小屋で温泉を楽しめるのも嬉しいポイントです。
アイヌ民族の魔除けづくり “ご当地楽”を体験
全国の『界』で行われている、地域の伝統や文化を体験できるプログラム“ご当地楽”。
今回の『界 ポロト』の滞在では、アイヌ民族が魔除けとして身につけていたといわれる“イケマ”を使った魔除けづくりを体験しました。
他にも、ラウンジでご当地ならではのお酒を味わう「コタンの宵の集い」や、湯守りによる語らい「温泉いろは」、朝7時からの「丹頂鶴の羽ばたき体操」など、いくつものご当地らしさに触れられるおもてなしが。私が参加した丹頂鶴の羽ばたき体操は、気持ち良くておすすめです。
アイヌ文化に触れ、ポロトの自然、温泉がたっぷりと心と体を癒してくれる湯宿。
ここ白老町だからこその体験も良い思い出となりそうです。
界 ポロト
住:北海道白老郡白老町若草町1-1018-94
電:050-3134-8092(界予約センター 9:30〜18:00)
取材・文 神保亜紀子