【いま巡りたい街】馬喰町…食とライフスタイル充実の街の注目ショップ(前編)

今注目を集める東京の5つの街。地元を愛する達人に、地元民だからこそ知る隠れたスポットやとっておきの楽しみ方を聞きました。馬喰町はセンスのいい店が集まる注目のエリアとして進化中。利用できる駅も多く、歩いて回れるので、旅気分でお店巡りを楽しみたい。そんな馬喰町の人気ギャラリー&ショップ「組む東京」を主宰するディレクター、小沼訓子さんにおすすめのお店を教えてもらいました。

後編はこちら

『カフェ フクモリ 馬喰町店』誰もが気軽に立ち寄れる、みんなのカフェ兼定食屋。

昼は日替わり定食、カフェタイムにはコーヒーとスイーツ。夜は居酒屋!? 山形県産食材のPRも担うここでは、地元の日本酒やワインも充実。

人気No.1のローストビーフサラダ 1,200円、バスクチーズケーキ 900円には庄内塩を添えて。

当時、飲食業未経験だったカフェ フクモリの小松裕行さんが、街再生のキーパーソンでもあり、ビルの家主だった鳥山和茂さんから「1階でカフェをやってくれるならぜひ!」と、2階のデザイン事務所と共に提案されたのがこの場所。

「鳥山さんの男気に共感した小松さんが、15年前に開店。街が魅力的に変化していくきっかけになった店です」(小沼さん)

カフェ フクモリ 馬喰町店

住:千代田区東神田1-2-10 泰岳ビル1F
営:月〜木曜日/11:30~22:00(L.O.21:00)、金・土曜日/11:30~23:00(L.O.22:00) ※ランチ11:30~15:00、カフェ15:00~17:00、ディナー17:00~
休:日曜、年末年始、夏季休暇

『北出食堂』体にやさしい絶品料理を目当てに、地元の常連も集う食堂。

好みの具材2種とトルティーヤ、メキシカンライス、サルサソース3種付きタコスプレート(土日祝日の昼限定)1,890円、ビール 800円

元薬品倉庫のビルを改装した店はブルックリン風。金物店が多かったことが由来の神田金物通りに。

化学調味料を使わず、完全無添加の料理を提供するN.Y.のレストラン、bozuの姉妹店として2013年に開店。タコスやトルティーヤのほか、創作料理も充実。こだわりの食材や契約農家から直接仕入れた野菜を多用。

「ここも、志高く街を盛り立てている先駆者です。特徴的なメニューで食べると元気になります。テキーラの種類も豊富で楽しい!」(小沼さん)

北出食堂

住:千代田区岩本町1-13-5
営:水~金曜日/11:30~14:30(L.O.14:00)、17:30~22:00(L.O.21:00) 、土・日曜日、祝日/ブランチ11:30~14:30(L.O.14:00)、ディナー17:00~22:00(L.O.21:00)
休:月・火曜日(祝日営業の場合、水曜日振替定休)

『club d by D&DESIGN』販売重視というよりもデザイン拠点。カフェとしても穴場です。

個性的な店が集中しているアガタ竹澤ビル。下記掲載の2店へは中央奥の階段から。

細長い店内はカフェの奥がショップ。バックヤードに事務所。

左上・韓国製のガラスの植木鉢¥9,075~。左下・ビルの角、控えめなdの看板が目印。左・細長い店内はカフェの奥がショップ。バックヤードに事務所。

ビルの角、控えめなdの看板が目印。

ロングライフデザインをテーマにしたD&DEPARTMENTのデザインチームが運営。ユーズドの一点物のショップ&カフェ。店の奥がデザイン事務所で、ギャラリーの企画や商品開発などを発信する実験場のような場所。

「独自の視点でディスプレイされたウィンドウが面白くて、いつも楽しみにしています」(小沼さん)

club d by D&DESIGN(クラブディ バイ ディアンドデザイン)

住:千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル1F
営:木・金曜日の12:00~18:00(祝日は休み) 土~水曜
休:土~水曜 ※詳細はInstagram:@d_danddesign

『puukuu 食堂』まるで森の中にいるよう。 ホッとひと息つける休憩所。

チーズケーキ 440円、本日のワイン 880円~

フィンランド語で「puu」は木、「kuu」は月の意味。「月の木」をイメージした店名を刻んだ看板も、手描きのメッセージも、窓ガラスの絵もデザイナーの皆川明さんによるもの。

ヘルシンキにあるカフェに着想を得たという店内は、窓ガラスに木々の絵が描かれ、天井からはキッチンツールやグリーンが下がり、温かみのある雰囲気。ランチタイムには体にやさしい食事、14時からナチュラルワインと軽いおつまみも楽しめます。「友人とお茶を飲みながらゆっくり話ができる店。デザートもおいしい」(小沼さん)

puukuu 食堂(プークー 食堂)

住:千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル202号室
営: 11:00~19:00(L.O.18:00)
休:日・月曜 (展覧会会期中の日曜は営業)

『minä perhonen elävä II』ものを使い繋ぎ愛着を育てる。 そんな暮らしの豊かさを体感。

世代を超えて長く愛されてきたヴィンテージを通して、単にものを売るだけでなく、ものとのつき合い方を提案。要望に応じて販売しているヴィンテージチェアのオリジナルテキスタイルでの張り替えなど、カスタマイズの相談にものってくれる。

広々とした店内には北欧で買い付けてきたヴィンテージ家具や雑貨などを中心に、皆川さんと親交の深い現代作家のアートピースやミナ ペルホネンのアーカイブコレクションが並びます。

「ここはまさにミナ ペルホネンワールド。ファッションと暮らしのデザインには境界線がないという皆川さんの哲学を感じます」(小沼さん)

minä perhonen elävä II(ミナ ペルホネン エラヴァII)

住:千代田区東神田1-2-11  アガタ竹澤ビル201号室 03-6825-8037
営:11:00~19:00
休:日曜 (展覧会会期中は無休)

小沼訓子さんにとって馬喰町は、祖父母の家があり、祖父の後を継いだ父の仕事場もあったので、幼い頃からのなじみ深い場所です。街の変遷も見てきました。

「約20年前に地元の旦那衆が、問屋街にクリエーターたちを招き入れる働きかけをして、カフェやギャラリーなどユニークなお店ができたのが始まり。それと重なるようにマンションが建ち、住人が増え、土日や夜は閑散としていた所に暮らす街の活気が生まれたんです」

ガイド紹介

小沼訓子/こぬま・のりこ

組む東京 ディレクター。父の仕事場だった馬喰町の倉庫を改装し、ギャラリー&ショップ「組む 東京」を主宰。キュレーター兼ディレクターとして、国内外の手仕事を紹介する企画展を行っている。中川ケミカルの取締役も務めている。

『クウネル』2024 5月号掲載 写真/目黒智子、取材・文/黒澤弥生、和田紀子

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