【画家・山本容子さん】私を魅了する京都人。京都市立芸術大学の学長・赤松玉女さんを訪ねて
京都の魅力は、暮らしや文化に関わる「人」が作っています。今回は、画家・山本容子さんが、母校・京都市立芸術大学で学長を務める赤松玉女さんを訪問。お二人の関係性とその活動について伺いました。
PROFILE
山本容子/やまもとようこ
銅版画家。1952年生まれ。1978年京都市立芸術大学西洋画専攻科修了。軽妙洒脱な色彩で、独自の世界を確立。書籍の装丁や挿画も数多く手がける。
赤松玉女/あかまつたまめ
画家。1959年生まれ。1984年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻(油画)修了。1993年美術学部美術科油画専攻教員に着任、2019年学長に就任。
「母校初の女性学長を全力で応援しています」(山本容子さん)
ともに京都市立芸術大学の卒業生。とはいうものの学生時代に接点はなく。ただ、卒業後にキャンパスに遊びに来ていた山本さんを、当時学生だった赤松さんはまぶしく見つめた記憶があるといいます。
すでに華々しく活躍していた山本さんを「カッコいい先輩でした」と振り返ります。それぞれ創作活動に邁進しながら、山本さんは一時期非常勤講師として母校に通い、赤松さんは教員として芸術家を育てる前線に立ち続けてきました。
2019年、赤松さんの学長就任を機に、二人の距離が縮まります。2023年秋の新キャンパスへの移転プロジェクトが進行する中、重責を担う立場となった赤松さん。
「移転を成功させるにあたって、いろいろな方のお力を借りなければいけない。容子先輩もまず頭に浮かんだお一人でした」
山本さんも意気に感じ、京都に出かけて頼もしい後輩にエールを送ります。
「女性が京都市立芸大の学長になるのは初めてのことだし、大変なこと。とにかく応援したい!と思って。持って生まれた才能と目標に向かって努力を重ねる姿勢で、新しい風を吹き込んでくれるだろうと期待しています。母校にとっても大事なプロジェクト。移転をより広く知ってもらえるよう広報活動をすることが、私の役目なのかなと」
京都市立芸術大学
住:京都市下京区下之町57-1 JR京都駅から徒歩6分
WEB:https://www.kcua.ac.jp
10月開催の移転記念展はこちらに。https://gallery.kcua.ac.jp
「憧れの先輩に大学移転イベントでご協力いただいています」(赤松玉女さん)
そんな山本さんの発案により、移転記念のイベントの一つとして、JRA京都競馬場での美術展が実現することに。競馬場と美術展という異色のコラボレーションに期待が募ります。
10月、キャンパスは新天地となる京都駅東部の崇仁エリアへ。真新しい校舎で、日本最古のアートスクールの伝統をつなぐ一歩を踏み出します。
「“テラス”をキーワードに、外に向かって開かれた、地域とともに育っていく大学でありたいと思っています。立地がいいので市民や観光の方がふらっと寄ったら、作品の展示がそこここで見られたり、音楽学部の学生たちの練習風景がのぞけたり。京都という街に刺激を与える存在になりたいですね」と赤松さん。
多彩な記念イベントも1年半をかけて、順次開催の予定です。
異色のコラボが実現「4人の個展─競馬場のパサージュにて」
2025年の開設100周年を控えて改修となった京都競馬場のグランドオープンと、京都市立芸術大学の移転を記念して美術展を開催。京都ゆかりの4人の作家が新作を披露します。
会場:京都競馬場 ステーションサイド3階展示コーナー 京都市伏見区葭島渡場島町32
会期:2023年11月4日〜11月26日の土日のみ開催(8日間)
主催:JRA京都競馬場
WEB:https://jra.jp
赤松玉女さんおすすめの美術館
岡崎エリアにある二つの美術館で、京都芸大ゆかりの先達の作品をぜひ。
写真/山下郁夫、取材・文/河合映江、編集/黒澤弥生
SHARE
『クウネル』No.123掲載
私のとっておきの京都
- 発売日 : 2023年9月20日
- 価格 : 980円 (税込)