画廊・うどん屋・散歩道。京都の造形作家・松永智美さんが愛するとっておきの場所3選

京都で育ち京都を熟知し、そのライフスタイルにも憧れの集まる造形作家・松永智美さんが愛する、とっておきの京都スポットをご紹介します。

PROFILE

松永智美/まつながともみ

造形作家・素食研究家。竹や麻、漆などの自然素材を使い、ジュエリーをデザイン。素食研究家として、食のクリエーションにも取り組む。

人や歴史とつながる知られざる場所へ

造形作家で、台湾発祥の精進料理をベースにした素食研究家でもある松永智美さん。創作活動の原点は幼い頃に始めた京舞。祇園で画廊を営んでいた母の勧めで花街・祇園甲部で伝承される、井上流に師事しました。

「人がつくり出すものの美しさに、京舞が気づかせてくれました。祇園は観光客が増えて、昔とはずいぶん様変わりしましたが、『楽空間 祇をん小西』は空間もしきたりも大事に引き継がれています。店主・小西いく子さんは、ここで生まれ育ち、昔を知る人。季節のしつらえや会話が楽しみです」

じんぐうみち萬樹』は、2組の夫婦が土曜だけ営業する、うどん店。実は、4人それぞれに本業があります。

「本業を持ちながら、祇園祭の裏方を務めたり、華道家や茶人でもあったり、京都はいろんな顔を持つ人が多い。人とのご縁から自分の世界が広がっていくのがこの街の面白さですね。一歩踏み込んで京都を見てみたい、三カ所ともそんな人におすすめです」

和の空間で作品を堪能できるギャラリー『楽空間 祇をん小西』

阪神淡路大震災による修繕を機に改装し、画廊をオープン。7月に開催した「偶然の好奇心-KUA ceramic lab」展の様子。畳をはがし200余りの陶のピースを並べ、グラデーションをつくる。

曽祖母や母がお茶屋を営んできた花見小路の自宅を、ギャラリーにして引き継ぐ小西いく子さん。

和の空間を生かし、作家と共にここだけの展覧会をつくり上げます。現代美術から民芸までジャンルは幅広く、訪れた人たちと気さくに語らい、人をつなぐサロンのような役割も。

「作品と触れあいゆったりとした時を楽しんでいただきたいです」

中庭越しに見る、離れの展示室。

空間すべてを生かして作品を展示。格子戸の陰影も美しい。

店名が入った陶板は陶芸家・藤平伸による。7月は祇園祭の提灯が。

楽空間 祇をん小西

住:京都市東山区祇園町南側570-121
電:075-561-1213
営:13:00〜19:00(展覧会最終日〜17:00)展覧会期間のみ開廊、スケジュールはホームページにて告知。

大人好みのおうどん屋さん『じんぐうみち萬樹』

にしんうどんはおばんざいとセットで 2,300円

かつて祇園で店を営み、その後、取り寄せのみとなっていた『おうどん萬樹』の味が土曜だけ楽しめるように。うどんはコシのある細麺。だしがすーっとしみ入り、最後のひと口まで美味しい!

おばんざいは鷹峯・樋口農園の野菜を使い、昼呑みに合うワインや日本酒も提供。うどん鉢は村田森の作。2組の夫婦が楽しみながら挑む、粋な店です。

お酒も充実。

『おうどん萬樹』永田昌彦さんとフラワーアーティスト藤井淳子さん夫婦(左)と写真家の久保田康夫さん、スタイリスト河内直美さん(右)夫婦で営む。

じんぐうみち萬樹

住:京都市左京区岡崎円勝寺町140 ポルト・ド・岡崎1F
営:11:00〜売り切れまで。(InstagramのDMから予約可)
営:土曜日のみ営業
Instagram:@jingumichimankikyoto
じんぐうみち:https://jingumichi.jp/

歴史に触れながら歩く「黒谷さん」からの散歩道

法然上人が開山した金戒光明寺は、紅葉の美しさでも知られる。文殊塔に続く石段からの眺め。左に見えるのは山門。

岡崎にアトリエがある松永さんの散歩道が「黒谷さん」の名で親しまれる、金戒光明寺から真如堂へ続く道。

「観光客はほとんどいない、静かな道。蓮池から石段を上がって文殊塔へ、振り返ると街が一望できます」。

会津藩の墓所もあり、京都の歴史の断片が見つかります。

蓮池にかかる極楽橋。

くろ谷 金戒光明寺

住:京都市左京区黒谷町121
電:075-771-2204(境内参拝自由)
WEB:https://www.kurodani.jp

『クウネル』11月号掲載 写真/石川奈都子、取材・文/宮下亜紀

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『クウネル』No.123掲載

私のとっておきの京都

  • 発売日 : 2023年9月20日
  • 価格 : 980円 (税込)

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