生田斗真さん主演の映画『湯道』を、『界 雲仙』で追体験しました!

茶道、華道、書道は日本文化として馴染みのあるものだけど「湯道」って?2015年から「湯道」を提唱しているのは、放送作家で脚本家の小山薫堂さん。「日本人特有の入浴行為は、ひとつの文化としてきっと世界に発信できる」と、小山さん。たしかにこんなにも日々の入浴、温泉、最近人気のスパリゾートなど、お湯を楽しむ国民は世界中で日本だけ!

その小山さんが脚本を手がけたお風呂エンタメ映画『湯道』が2月23日(木)より公開になる。その「湯道」の考えに極めて近いコンセプトを打ち出す星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」が、映画『湯道』の世界を追体験できるプランを販売し始めたと聞き、女友だちとふたりで出かけてみました。

山本浩未さんと『界 雲仙』へ

向かったのは、昨年11月にオープンした長崎県・雲仙温泉にある『界 雲仙』。界は星野リゾートが全国に22施設を展開する温泉旅館ブランドです。旅の友はクウネルでもおなじみのヘア&メイクアップアーティストの山本浩未さん。旅と温泉が大好きな山本さんをお誘いしたところ、「行く!」と即決でした。

水蒸気などを含む白い煙が上がり、ロビーの中まで硫黄の匂いが漂っている。

雲仙温泉は、長崎空港から車で約1時間30分の距離。アクセスや周辺の観光を考えると、断然レンタカーをお勧めします。雲仙天草国立公園の中にあり、周囲は硫黄の香りとあちこちから立ち上る噴気や湯気が漂うエリア。ロビーの目の前には「八万地獄」の噴気が上がり、生きている地球、大地のエネルギーを間近に感じます。

宿泊はユニークな「客室付き露天風呂」

ライトの透かし模様にも“和華蘭”の要素が。

館内は目の前の景色とは打って変わり、長崎文化を反映した日本、中国、オランダ“和華蘭”の要素を織り交ぜた異国情緒あふれるしつらえ。オランダから伝わったガラス工芸品であるステンドグラス、長崎の焼き物・波佐見焼きや古賀人形、そこに中国格子などが見事に調和し、ダイナミックな景色を心静かに眺められる落ち着いたインテリアです。

客室の滞在スペースの半分以上が露天風呂スペース。目の前の噴煙を眺めながら湯に浸かります。

映画『湯道』の追体験ということで、宿泊したのは「客室付き露天風呂」。露天風呂がついた客室なら知っているけど、逆じゃない?客室がお風呂についているとは?と、新しいワードにワクワク。部屋に入ってみると、なんとテラス全面が露天風呂という造り。その手前には防水の湯上がりチェアに御影石の床という、いわゆる温泉の休息スペース「湯上り処」が設けられていました。もちろん「湯道具」もすでにセッティング済み。早速、浩未さんとバスローブに着替え、湯道の入浴作法に従って部屋のお風呂を堪能しました。

いざ、湯道を体験!

湯道の入浴作法とは、1.湯に感謝する「合掌」→2.入浴前の水分補給「潤し水」→3.脱いだ衣服を風呂敷で覆う「衣隠し」→4.入浴前に体をしっかり洗う「湯合わせ」→5.湯の中で心を穏やかにする「湯三昧」→6.入浴後は椅子や湯桶を洗って水切りする「近慮(きんりょ)」→7.湯の余韻に浸り、湯上がりに覚醒する「風酔い」→8.最後に再び湯に感謝する「合掌」という流れ。

映画に登場する「湯道会館」の初代家元の家紋入りのオリジナル漆の水のみや手桶、手拭いなどがセットされた湯道セット。

地球の恵みの湯に感謝の合掌をした後、入浴前の水分補給「潤し水」をいただきます。

濡れた体のまま休憩できるソファ。

風呂上がりの牛乳も用意。しかも瓶。これがサイコー!もちろん映画の中にも牛乳のシーンが多数。

映画にも出てきたこの行程を追体験してみると、それは「界」が日頃から推奨するお湯のマナーや、湯上がり処に入浴前後にお飲みくださいとドリンクが置かれている心遣いそのもの。この辺がコラボした理由なのかと感じながら、ソファで風酔いしては、何度もお風呂に入って出てを繰り返す。とにかく気持ちいい!湯煙越しに、地獄の噴煙が上がり続けるのを眺めながら、日が暮れるまでずっと入り続けてしまった露天風呂(本当は湯あたりするので、1日2回程度がよいのだとか)。ちなみに雲仙地獄から引いた温泉は独特の濁りがある酸性の泉質。浩未さんから「軽いピーリング効果で肌がつるっとするけど、必ず掛け湯をしてから出なければだめよ。そして汚れはお湯で落ちるから、あまりボディシャンプーでゴシゴシこすらない方がいいよ」と美容のプロらしいアドバイス。

土地の素材を生かした特別会席に舌鼓

雲仙名物の湯せんぺいに豚の角煮のリエットをつけていただきます。

今日のお刺身は、シマアジ、鯛、鰆、幸貝、そしてマグロ。

弾力のある伊勢海老とふぐを最初に、そして野菜、和牛。そして出汁がたっぷり出た状態でうどん。もう絶品!

さて「湯道」で調った後は晩ご飯の特別会席をいただきました。界のご飯はいつも土地の素材を生かした先付け、宝楽盛り、台の物が楽しみです。先付けは雲仙の代表的なお菓子“湯せんぺい”に豚角煮のリエットをつけていただく一品。紙に描かれた鬼を木槌で退治しながらせんべいを割り、甘しょっぱい味を堪能。酢の物、八寸、お造りを卓袱風の朱色の器に並べ、器好きの浩未さんもご覧の笑顔です。台の物はあご出しに伊勢海老、ふぐ、野菜、牛肉をくぐらせていただく“あご出汁しゃぶしゃぶ”。締めの島原うどんまで完食してしまいました。

絶対に体験すべき「雲仙地獄パワーウォーク」

モクモクと煙がわく中を歩き回ります。

猫が座っているのは、地熱を感じる温かい場所。

ラストは地面に寝転がってアーシング。ポカポカ暖かくて気持ちいいんです。

翌朝は体のストレッチと呼吸を組み合わせた「現代湯治体操」で、体をほぐし、楽しみにしていた「雲仙地獄パワーウォーク」へ。これは宿泊者なら誰でも参加できるので、早朝に実施ですが、絶対に体験すべきアクティビティです。

衣装(?)一式は施設から借りられるのですが、なぜか足元が地下足袋。アップダウンのある地獄を、棒をつきながら早足で歩き、ところどころではストレッチや掛け声をかけながら1時間ほど歩き回る、かなり息が上がる運動です。そのおかげで、体はポカポカ。地下足袋は地獄の地熱を足元から感じるためのようです。

ピンセットで文字を丁寧に配置し、しっかり固定してから印刷機へ。

映画で湯上がり後に銭湯の客が美味しそうに飲んでいた牛乳。界でもプラン販売中は湯小屋に牛乳が置かれている。

この日はマイナス1度だったんですが、最後に熱を感じる温かい石畳の上に寝転び、思い切りアーシングするとウトウトしてしまうほど。運動&クールダウンで、頭と体がすっきり。冷えた体のまま大浴場へ。朝日がステンドグラスを通って、なんとも幻想的で美しい。朝食後は界ならではの「ご当地楽」。昔、ヨーロッパから島原へと四人の天正遺欧少年使節によって運び込まれた活版印刷の体験です。好きな文字を選び、ピンセットで丁寧に配置、最後に活版印刷機でカードに文字を転写。独特の文字の擦れや味わいがなんともレトロで美しい。

「湯道」追体験は全国21箇所の「界」でも

界での映画『湯道』の追体験をし、改めて日本人でよかった。毎晩お風呂に入れる文化でよかった。温泉に浸かりながら、友と会話を楽しめる時間が持ててよかったとしみじみ。追体験は全国21箇所の温泉旅館「界」で実施していますが、客室付き露天風呂で追体験ができるのは、ここ「界 雲仙」のみ。客室で使った湯道具(ガイドブック、水呑み、手ぬぐい)は持ち帰れるので、時間がある週末などに、ゆっくりお湯と向き合い、温かいお風呂に浸かれることを感謝し、改めて湯道の心を大切にしたいと思えた旅でした。

「湯道」追体験宿泊プラン
宿泊期間 2月23日宿泊〜3月31日宿泊
対象施設 界21施設 *組数限定
料金 3万2000円〜(2名1室利用時1名あたり、税サ込み)
含まれる物 夕朝食、湯道具セット(水呑み、赤手拭、追体験ガイド)、専用湯桶の貸し出し
専用サイト https://www.hoshinoresorts.com/sp/kaiyudo/

界 雲仙
住:長崎県雲仙市小浜町雲仙321
電:050-3134-8092(界予約センター)
料金:1泊2万5000円〜(2名1室利用時1名あたり、税サ込み、夕朝食付き)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiunzen/

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この記事の
プレミアムメンバー

今井 恵

女性誌を中心に、美容、旅、インテリアなどの記事を執筆。忙しい日々のなかで、時々出かける旅でバランスを整える。3匹の猫との暮らしに癒される。
Instagram : @megumomi

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