フルーツでもチーズでも、おいしい食パンにはどんな食材も受け入れる包容力があります。菓子研究家の福田里香さんに聞いた、とっておきのレシピ、おいしい組み合わせ。お気に入りの食パンも紹介してもらいました。
お菓子作りの専門家の福田里香さんが好むのは「偶然の発見」。
「決まったものを作るのではなくて、ちょっと実験をしてみて、思わぬおいしいものができたりするのが好きなんです。セレンディピティって、英語では言うらしいのですが、偶然の発見、幸運というような。このパンの組み合わせもやってみたら意外なおいしさで」
なにしろ、いちじくだけで1冊のレシピ本ー『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局) ー を書いたほどのいちじく好き。「味も形も好きなんですね。最近はいちじくもいろいろな種類が出てきて楽しい」。そのうえ、バターも福田さんの好物。あまり他では食べたことがなかったけれど、このふたつを合わせてみたら、とってもいける!ということを発見したのです。
「バターは冷たいものがいいんです。このレシピはバターを食べるものでもあるので、たっぷりと」
姿も可愛くて、福田さんらしいスタイルのある食パンレシピ、最後にふったおろしレモンの香りが爽やかです。
●いちじくバターパンの作り方
食パンに多めの冷やしたバターをのせ、半分に切ったいちじくをのせる。無塩バターを使うときは、塩をふる。ノーワックスのレモンの皮をチーズグレーターでおろしてかける。
福田里香/ふくだりか
福岡県生まれ、武蔵野美術大学卒。スタイルのある、お菓子レシピを提案。『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)、『民芸お菓子』(Discover Japan)など著書多数。
『ku:nel』2019年11月号掲載
写真 三東サイ / 取材・文 船山直子