【中野翠おすすめの実話シネマ】平凡な主婦が見つけた意外な歴史の真実!『ロスト・キング 500年越しの運命』

シェイクスピア戯曲で知られる『リチャード三世』に魅せられ、女性が見出した奇跡の真実とは……。

PROFILE

中野翠/なかのみどり

ふと、子どもの頃に観たディズニー映画のベストは?と思う。『海底二万哩』かな? 怪優ピーター・ローレに注目。ヘンな少女だったかも。

平凡な主婦が見つけた意外な歴史の真実

日本とイギリスは似ていると思う。イギリスには王室があり、日本には皇室がある。歴史や伝統を重んじるところも共通している。両国とも島国であることも関係しているのかもしれない。

さて、今回のイギリス映画『ロスト・キング 500年越しの運命』のヒロインは歴史好きの中年主婦フィリッパ(サリー・ホーキンス)。

独自の推理と探索によって、歴史学者もビックリの大発見をしてしまうという話……。これが、なんと実話だという。

フィリッパは、ごく普通の主婦だが、演劇の『リチャード三世』に関する本を読みあさり、「リチャード三世協会」にも入会。一気にリチャード三世オタクになってゆく。

そんな猛勉強の中で、フィリッパは「リチャード三世の亡骸は、大昔に取り壊されたレスターのグレイフライアーズ教会の敷地内に眠っている」という説に注目。市議会や大学からの支援を受けて、発掘調査にとりかかる。何しろ500年も昔の人物。アテがはずれてもフィリッパはあきらめない。そんな中、フッとひらめいた場所があった。そして……という話。

フィリッパを演じたサリー・ホーキンスは1976年生まれ。小柄で地味な顔立ちの女優だけれど、この映画では役柄ピッタリに感じられた。めでたし、めでたしの成功話。後味がいい。

『ロスト・キング 500年越しの運命』 監督/スティーヴン・フリアーズ 9月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家』

さて、もう一本。昨年の9月13日、スイスで91年の生涯を閉じたジャン=リュック・ゴダール監督を追悼するドキュメンタリー『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家』。

’60年代のゴダール登場は画期的だった。特に『勝手にしやがれ』( ’60年)、『女と男のいる舗道』( ’62年)、そして『気狂いピエロ』( ’65年)……。

女優はジーン・セバーグやアンナ・カリーナ。男優はジャン=ポール・ベルモンド。型にはまった美男美女ではない。ひとことで言えば〝粋〟なんですよね!

『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家』

監督/シリル・ルティ 9月22日より新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

【旧作】レベッカは生きているのか? 笑ってしまうほど怖いです

アルフレッド・ヒッチコック監督による恋愛スリラー。モンテカルロで出合った男と女……。男は資産家で、一年前に妻のレベッカが事故死したという。女は、あやぶみながらも彼のプロポーズを受け入れる。

彼の大邸宅に引っ越してみると、使用人たちの様子が怪しい。特にレベッカを崇拝していたらしいダンヴァース夫人が……。その場面、(頭の中で)笑ってしまうほど、こわい。

夫を演じたのはローレンス・オリビエ。レベッカを演じたのはジョーン・フォンテイン。怪しげな脇役ジョージ・サンダースも見もの。

ヒッチコック映画は、案外、エロティックな味わいもあり。古風につつましいものだけれど。

『レベッカ』

ヒッチコックがアメリカに進出した最初の作品。第13回アカデミー賞作品賞受賞。日本公開1951年。

文・イラスト/中野 翠

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