パリ在住5年目のメンバー・松永加奈さんが、日本の友達によく訊かれるのが「フランス人は毎日髪を洗わないって本当なの?」ということ。私たちの素朴な疑問に答えてくれました。
パリへやって来て5年目。ゴミの出し方から挨拶のマナーまで、当初は文化の違いに戸惑うことばかりでしたが、さすがに毎日暮らしていれば慣れてくるものです。とはいえ、フランス人の習慣、ライフスタイルなど、いまだに驚くことはたくさんあります。
その1つが「洗髪」。日本に住む友人たちからも「フランス人は毎日髪を洗わないって本当?」とよく訊かれます。たしかに私が知る範囲では、ほとんどの人が1日、または2日おき。ご年配のマダムには、1週間に1度ヘアサロンで洗髪とブローをして、自分ではしないという方も。
初めは私も、なぜだろう?と思っていましたが、生活の中でいくつかの理由がわかりました。 フランスの生活用水は硬水で、肌や髪を傷めやすいといわれています。そのため、髪の毛が細いフランス人は、ヘアケアのためにあまり洗髪しないのだそう。実際、髪が太い私でも、硬水で洗うとごわごわになってしまうので、ミネラル分を取り除くシャワーヘッドとヘアケア用のエッセンスは欠かさず、毎日しっかりとブローもしています。しかし、長年硬水を使っているフランス人は、いちいちそんなこと気にしていられません。そして「手をかけ過ぎないナチュラルなくせ毛」を生かした結果、フランス人女性の定番ともいえる、あの無造作なヘアスタイルが作られている、というわけです。
また「お湯をたくさん使えない」という事情もあります。フランスに建ち並ぶ古いアパート内には「貯湯タンク」があり、キッチンもバスルームも、お湯はそこから供給されます。そのため、毎日使える量に限りがあるのです。今はリノベーションでこの点が改良されているところも多いのですが、もともとそういった事情で「お湯は節約して使う」「毎日洗髪に使うなんてもったいない」という文化が根付いているのだそうです。
さらに私自身が実感しているのが、気候です。フランスは湿度が低いので、日本よりも髪や肌のべたつきが気になりません。なので、最近は1日髪を洗わないことがあっても「ま、いいか」と思うようになりました。私もそこだけは、パリジェンヌ化したようです。