白髪はもはやマイナス要素じゃない。「年齢解放!シルバーヘアの友人は黒髪の時より美人です」

60代に入ったことを機に、今一度、美容とおしゃれにしっかり向き合おうと決意した作家の甘糟りり子さん。試行錯誤のなかでの気づきを毎月、綴ってくださいます。今回は、マチュア世代に関心度の高い髪の毛のお話。シルバーヘアスタイルの素敵な友人をイメージサンプルに、いつか自分も…。

年を重ねると、いろいろなことを消去法で選ばざるを得ない?

五十過ぎの女性のヘア関連の悩みといったら、一に白髪、二に薄毛、三でコシハリってところでしょうか。そして、それゆえに似合う髪型がどんどん少なくなっていく。いろんなことが消去法になってしまうんですよね。若い頃、お姉さんたちの雑誌はどうして髪型の特集が繰り返されるのだろう、そんなにしょっちゅう髪型を変えるのかなと疑問に思っておりましたが、あれはお悩み解決の特集なわけだったのですね。

私の白髪はずっと目視で本数を数えられるほどだったのですが、さすがに最近はかきあげると白い輝きが目立つようになってきました。かといって「シルバーヘア」に仕上げるほどの量でもなく、非常に中途半端な状態。で、昨年から定期的にヘナで手入れをしております。ヘナとは大昔から染料として使用されてきたミソハギ科のハーブです。念のため。

現状の白髪対策は、赤くならないヘナ

ヘナというと独特の赤茶色にしか染まらず、似合う服も限られてしまいそうなイメージですよね。そこで『uka』のヘナです。ヘナとインディゴをブレンドしたものが何種類かあって、私はヘナ・インディゴ3:7のものを使っているので、ちゃんと深い色味に染まります。トリートメント効果もあって、使い続けるうちに髪に艶が出てくるのだとか。自分でいうのもなんですが、齢60にして(あ〜あ、この数字書きたくな〜い。笑)しばしば髪の艶を褒められます。ヘナはだんだんと色落ちしていくので、時間が経ってもカラーリングのようにプリン状態になることはありません。それもずぼらな私には合ってます。

ミッドタウンにある『uka』のサロンで染めてもらうこともありますが、基本はセルフ。自宅には〈ブレンドⅡ〉を常備してあります。やり方は簡単。使い古しのTシャツに着替え、洗面器でヘナの粉をぬるま湯で溶き、マヨネーズぐらいの硬さにしたら櫛で髪に塗布し(事前にシャンプーはしない)、頭をタオルで巻いて1〜2時間放置。家事をしたり、本を読んだり、Netfilixを見たりしております。

頭が重くて集中力は落ちるので原稿を書いたことはないですが、わりと自由にしてます。で、しっかり洗い流したら、いつもと同じようにシャンプー&ブローして終わり。Tシャツとタオル、櫛は専用のものを用意してますが、自然のものですし、そんなに神経質にならなくてもいいかもしれません。

甘糟さんが愛用する『uka』のヘナ。uka King of Ryukyu BlendⅡ

「黒髪の時より美人」なシルバーヘアの友

今のところ、3〜4ヶ月に一度のペースで「ヘナ」しておりますが、近い将来、もっと白髪が増えたらシルバーヘアもいいなあと思っております。

きっかけは友人の野口美佳ちゃん。かつてはお互い港区に住んでいて、クラブやらバーやら梯子して朝まで飲み明かしたこともありましたが、彼女は現在ニセコ在住で、葉山の別宅にもたまに帰ってくるというライフスタイル。

私も海のそばに住んでいます。元々攻めたファッションがよく似合うおしゃれさんでしたが、一昨年カラーリングを止め、いわゆる「シルバーヘア」にしました。それが本当にかっこよくて、同じ歳の友人として誇らしいのです(大げさ。笑)。若さにしがみついていないから逆に若々しくなったというか、年齢不詳というより年齢解放というか。黒髪の時より美人です。

ウクライナの伝統的な刺繍が施されたワンピースを着た野口さんと。「戦争が起こる前から買い集めているそうですよ」

私なりに分析してみると、キャラクターが立っていて、コンサバティブじゃないから、シルバーヘアがかっこいいのだという結論に達しました。それから、超ド級の宝石。時々、きらっきらのすごい指輪とか腕輪をつけていて、それがまた灰色の髪を引き立てているのですよね。宝飾品がちゃんと脇役になっているんです。最近はウクライナの民族衣装(刺繍がすばらしい!)や着物を楽しんでいる彼女。自分のスタイルにより磨きがかかっているようです。

かといって、私が将来シルバーへアにした時、ウクライナのワンピースを着て、超ド級の宝石を身につけたとしても、全然かっこよくないはず。単なるパクリですからね。いい大人になったら、自分の「好き」を知っていて、それを上手に扱えないとキャラクターは生まれないし、スタイルは確立されません。私も、もっともっと自分の「好き」を追求しようと思います。

私なりの「薄毛」対策

さて、髪の話に戻しましょう。そんなわけで髪の悩みその1「白髪」は、私にとっては悩みではなく楽しみとなりました。

その2の「薄毛」ですが、カラー剤やパーマ剤はできるだけ避けた方がいいらしいです。毛穴から強い薬が染みて地肌が荒れ、結局髪の毛が痩せていってしまうのだとか。私はそれを聞いて、カラーリングを止め、ヘナに転向しました。それでも分け目の生え際はやっぱり気になります。出かける際に鏡で確認して大丈夫だったのに、スマホの写真ですんごいハゲに写っているという経験はありませんか? 私はメイクの最後に 『SUMIDAY』のナチュラルヘアバーム・ダークブラウンで生え際の髪を立たせつつ、地肌を塗っちゃいます。本来はおくれ毛や浮き毛を馴染ませるためのアイテムですが、こうした使い方もおすすめ。

鎌倉のイチリンハナレの個室で野口さんファミリー、甘糟さんとお母さま、お店のシェフ斉藤宏文さんと記念撮影。

髪の毛がピンチになって、前より気を使うようになったらちょくちょく艶を褒められたりなんかするものですから、とにかく調子に乗りやすい私は久しぶりにロングまで伸ばしてみようかなあなんて計画しております。いろいろアレンジしてみたいのよね。

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甘糟りり子

1964年生まれ。幼少より草花に囲まれた鎌倉の家に暮らす。『産まなくても、産めなくても』、『産む、産まない、産めない』(ともに講談社文庫)など、出産にまつわる物語が多くの女性の支持を得ている。『鎌倉の家』(河出書房新社)や『鎌倉だから、おいしい。』(集英社)などでは、鎌倉での暮らしの魅力と愛情を綴っている。その他著書として『バブル、盆に返らず』(光文社)も。
Instagram:@ririkong

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