元気と若さのための努力がむしろ逆効果だった!? 前回に引き続き、精神科医の和田秀樹先生が目からウロコの健康法を伝授します。
和田秀樹/わだひでき
精神科医。和田秀樹こころと体のクリニック院長。1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒業。30年以上、高齢者医療の現場に携わる。近著に『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』(マガジンハウス)。
極端な健康志向が、ガンのリスクを招く
体によいものを食べ、悪いものを遠ざけ、朝早く起きて体を動かし、夜は早めに就寝。病気知らずの健康な体をキープするために、清く正しい生活を続けているけれど、幸福感が減ったような……。
「健康になろうとしてやりたいこと、好きなこと、食べたいものを我慢している人が多すぎます。でも、そんな過剰な節制生活が、老いを加速させているかもしれません。ちょっと考えてみてください。日本は、先進国で唯一、ガンで死ぬ人が増えているんです。心筋梗塞や脳梗塞を防ごうと、肉や脂を控え、血液をサラサラにする薬を服用し、運動も頑張っているのに、ガンになりやすくなっている」
「これはどういうことでしょうか。中には遺伝性のガンもありますが、後天的な要素としては、ガンに立ち向かう免疫細胞がストレスで減ってしまうことも原因のひとつです。多少体に悪影響があろうと、好きなことを選ぶストレスのない毎日の方が、おのずとガンのリスクが減るということに。やらなければならない、やってはいけない、という発想から離れて、やりたいことを自由に楽しむ時間を作ってみませんか」
「またよかれと思って頑張る運動も、激しすぎると体内に活性酸素を増やし、これもガン化の要因のひとつに。もちろん元気で長生きするために、立ったり歩いたりする筋肉を強化する必要はありますが、ウォーキングや水中トレーニングのような負荷の少ない運動がベター。女性の場合は、料理や掃除、買い物など日々の作業の中で筋肉を使うよう意識するといいでしょう」
『クウネル』2022年11月号掲載
イラスト/菊野友美、材・文/片岡えり、構成/今井 恵