【目利きが選ぶフランス映画】死や喪失がテーマの作品、作家・井上荒野さんの3選

cinema1/『愛、アムール』

パリの瀟洒な高級アパルトマンで余生を過ごす老音楽家夫婦のジョルジュとアンヌ。しかしアンヌに突然病が見つかり、二人の静かな日常は変わることを余儀なくされていく。カンヌ国際映画祭での最高賞をはじめ、数々の賞を受賞。「人はこうして生き、こうして消えていくんだな、ということを納得させられる映画です」と井上さん。監督、ミヒャエル・ハネケ、夫婦役はジャン゠ルイ・トランティニャンとエマニュエル・リヴァ、娘役にイザベル・ユペール。2012年製作。photo: aflo

cinema2/『まぼろし』

ごく仲のよかった中年の夫婦。バカンス先の海辺で、妻がうたた寝から目覚めると夫が消えていた。海で溺れたのか、失踪したのか。やがて彼女はリアルな夫のまぼろしを見るようになる。photo: aflo

「こんなことが自分の身に起こったら、どうするだろうと思わずにいられませんでした。安易な結末はなくて、でも彼女は少しずつ夫の不在を受け入れ、前に進んでいくんだろうと思います」。主演のシャーロット・ランプリングの演技が心に残る。監督はフランソワ・オゾン。2000年製作。photo: aflo

cinema3/『ぼくを葬る』

パリに暮らす売れっ子のファッション・フォトグラファーのロマン。傲慢で自信に満ちた男だったが、突然病に倒れ、余命を宣告されてしまう。家族や恋人ともうまくいかないロマンが唯一心を許せるのは奔放な祖母のラウラだけだった。2005年製作。photo: aflo

「命の刻限を知らされて人はどう対処するか。死ぬことの裏側にある生の輝きが描かれているのだと感じました。自然の描写がきれいです」。監督、フランソワ・オゾン、ロマンにメルヴィル・プポー、ラウラにジャンヌ・モロー。photo: aflo

夏の終わりのアンニュイな時期。夜更かしして、フランス映画を観ませんか?フランス映画には、恋、おしゃれ、アート、濃密な人間関係…人生で大事なことが全部が詰まっ ...[続きを読む]

『クウネル』2024年9月号掲載 取材・文/船山直子、原 千香子

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『クウネル』NO.128掲載

フランス人の素敵なルール

  • 発売日 : 2024年7月20日
  • 価格 : 1000円 (税込)

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