林真理子が推薦。ときめきと切なさが交差する珠玉の「恋愛映画」7選【後編】

中学生の頃から、ロマンティックなラブストーリーを映画館でよく観てきたという作家・林真理子さんが、珠玉の恋愛映画7作品を紹介してくれます。後編です。

『私の頭の中の消しゴム』 ©2004 CJ Entertainment Inc.

PROFILE

林真理子/はやしまりこ

1954年山梨県生まれ。コピーライターを経て『最終便に間に合えば』『京都まで』で第94回直木賞を受賞。アンアンで27年続くエッセイをまとめた『美女ステイホーム』(小社刊)をはじめ、著書多数。2022年7月に日本大学理事長に就任。

ラブストーリーは永遠です

ラブストーリーを、よりロマンティックに印象づけるものとして欠かせないのが映画音楽だと林真理子さんは言います。

「若い頃はフランス映画をたくさん観ました。『パリのめぐり逢い』はとにかく泣ける。アメリカ娘に恋をする、妻子あるフランスの中年男性のお話です。『男と女』や『ある愛の詩』のテーマ曲も手がけた、フランシス・レイが作った曲がとにかく記憶に残る。映像とともに、必ず彼の印象的な旋律が蘇ります。映画音楽の素晴らしいところって、街を歩いていてその曲が流れると、当時の自分が蘇ること。音楽を聴くだけで、胸の奥がキュンとするんです」

『パリのめぐり逢い』

フランスの有名ニュースリポーターの男性と妻の関係が、ソルボンヌに通う美しい女子大生が現れたことで少しずつ変わっていく。その恋の結末は……。「イヴ・モンタン演じる男とその妻が寝るベッドリネンが、すべてブルーで統一されていて、フランス人はなんておしゃれ!と、当時は衝撃を受けました」

また恋愛映画の記憶は、一枚の絵のようになって残ることも。

「韓国映画『私の頭の中の消しゴム』は、ソン・イェジンとは対談もしました。当時、ヨン様の『冬のソナタ』が大ブームで、彼女に『ひとりのスターの役割は100人の外交官に匹敵する力がありますね』と話したのを覚えています。そして相手役のチョン・ウソンがとにかく素敵。彼女を軽々とお姫様抱っこをしたシーンにはうっとりしました。『パリのめぐり逢い』のイヴ・モンタンとキャンディス・バーゲンが旅先のアフリカで、ふたり一緒にシャワーを浴びるシーンも、大人の恋愛の大胆さに衝撃を受けました。『花束みたいな恋をした』は娘と一緒に観た映画ですが、若い世代の恋愛観が新鮮でした。出会った頃はお互いが好きという気持ちでいっぱいだけど、どちらかが世俗的になって別れが来るというパターンも恋愛映画には多いですね。まさにユーミンの『「いちご白書」をもう一度』の世界」

『私の頭の中の消しゴム』

コンビニで運命的な出会いをした、天真爛漫な社長令嬢のスジンと孤独な建築家志望のチョルス。結婚して幸せいっぱいのふたりだったが、スジンが若年性アルツハイマー症と診断される。「ストーリーより主人公のチョルスの魅力が忘れられません。韓国人男性には、独特の男っぽさとセクシーさがありますね」

©2004 CJ Entertainment Inc.  U-NEXTで配信中

『花束みたいな恋をした』

終電を逃したことから偶然出会ったふたり。好きな音楽や映画が一緒であっという間に恋に落ち、濃密で忘れがたい5年を過ごす。「主演のお二人がとにかく素敵。そして若い世代でも男は家庭を持ち、妻を養うという意識があり、女の子はそれに比べてフリーな感覚がある。そんな若者たちの恋愛事情を知りました」

©2021「花束みたいな恋をした」製作委員会 U-NEXTで配信中

女の友情を描くラブストーリー

『バグダッド・カフェ』 © 1987 Pelemele Film GmbH

そして最後にあげた作品は、恋愛映画と呼ぶには異色の一作です。

「『バグダッド・カフェ』はふくよかなおばさんも主役になれるのねと、うれしかった映画。主演のふたりの女性がとても魅力的な、女の友情を描くラブストーリー。夕日の中の給水塔とか、映像が本当にきれい。こういう映画こそ、大きなスクリーンで観るべきだと思います」

『バグダッド・カフェ』

アメリカの砂漠にあるモーテル&カフェ「バグダッド・カフェ」に集う人たちの交流を、夫婦喧嘩の末にたどり着いたドイツ人女性を中心に描く。「登場する人々がとても魅力的。つねに不満を抱え、怒りを内面に秘めた女性をはじめ、周囲の人を笑顔に、明るくしていくドイツ人女性がとてもかわいかった」

© 1987 Pelemele Film GmbH 「バグダッド・カフェ 4K修復版」 価格:6,380円(税込) 発売元:WOWOWプラス 販売元:紀伊国屋書店 ブルーレイ発売情報は、本誌発行当時のものとなります。

数々のラブストーリーに感性を刺激され、憧れや羨望を感じた林さん。

「今はネット配信で映画が身近ではありますが、映画館に足を運び、スクリーンの中の世界に没頭することで、その後の人生が豊かになるのではないかしら。私も忙しいを言い訳にせず、もっと映画館に足を運んで、感性を磨こうと思います」

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『クウネル』1月号掲載 写真/天日恵美子(林さん)、ヘア&メイク/赤松絵利(林さん/ESPER)、取材・文/今井 恵

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『クウネル』No.124掲載

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