国際中医専門員の資格を持ち、「衣食で心と身体のケア」をテーマに、ライフアンドファッションスタイリスト®として活躍する、やくぜんもとこさん。クウネル・サロンでも、薬膳やファッションがテーマの記事を担当しています。
やくぜんもとこさんが現在のキャリアをスタートしたのは、実は51歳のとき。過労から体調を崩してしまったことで、26年近く勤めた会社を早期退職。このことがセカンドキャリアを考え始めたきっかけだそう。
そんなやくぜんもとこさんが、今のファッションと食という軸の仕事を見つけるまでのお話を全4回でお届け。vol.3の「48歳でスタイリストを志し、本格的にファッションを学ぶ。」に続いて、今回でいよいよ最終回。
●50歳からのセカンドキャリア
【vol.1】過労で体調を崩し、48歳で早期退職した当時のこと。
【vol.2】薬膳を学ぶきっかけと、国際中医師試験に合格するまでの道のり。
【vol.3】48歳でスタイリストを志し、本格的にファッションを学ぶ。
◆ライフアンドファッションスタイリスト®の仕事について
2018年9月、養成講座卒業と同時にライフアンドファッションスタイリスト®になりました。
パーソナルスタイリストと混同されることが多いのですが、ライフアンドファッションスタイリスト®とは、『ただ似合うファッションをお伝えするという、外見のアプローチだけではなく、ファッションという術を使い、内面=【人生】の変革にアプローチしていくスタイリスト』(*1)なのです。
(*1)life&fashion LABO® のHPより転載
これを「似合う」ファッションと「好きな」ファッションを掛け合わせて、唯一無二のオリジナルスタイルを作るサポートだと私は考えています。年齢や体型の変化を受け入れつつ、人生を活き活きと楽しんでいただけるよう、なりたい理想像を一緒に探す活動をしています。
具体的な仕事内容は、お客さまの悩みをお聞きするカウンセリングを経て、お持ちの洋服や小物を使って理想像に近づける新しい組み合わせのご提案や、プラスしたいアイテムのお買い物同行をご提供しています。
お客さまの主な年齢層は、私と同世代くらいの40代後半から50代後半くらいの女性。始めたばかりの時は、ブログなどSNSからのご依頼が大半を占めていましたが、今はご紹介がほとんどです。
私のお客さまのなかで多いのは、ご自身で起業されている方です。やりたいことがあり、理想像もハッキリされているけれど、どうしたら良いか分からない方という方をはじめ、なかにはお洋服のことで悩む時間がもったいないという方もいます。
全てのお客さまに、事前にアンケート回答や好みのコーディネート画像をお送りいただくなど、ご自身と深く向き合っていただくことになります。ここでの気づきはお客さま自身の宝物。それを共有いただける時間が何よりの喜びです。
そのほかのお仕事として、師匠であるスタイリスト・山本あきこ氏のお手伝いが入ることもあり、その度に良い刺激を受けています。
◆薬膳にまつわる仕事について
当初、中医学や薬膳に関することを本格的にお仕事にする予定はありませんでした。しかし、スタイリストの先輩のアドバイスで、2019年3月から季節の薬膳セミナーを開始。
講師経験もなく、教材も1から作るという手探り状態でした。しかし、ブログで告知し、公式LINEご登録の方を最優先に募集したところ、有難いことに満席になりました!
セミナーでは、薬膳に親しむきっかけを作りたくて、専門用語は使わず、スーパーで買える食材でご提案しようと決めました。レンタルスペースを借り、野菜で作る薬膳茶とお茶菓子を召し上がっていただき、季節の特徴や過ごし方、おすすめの食材などをお伝えしました。
これが好評いただき、通年での開催となりました。
また、セミナーで横浜中華街について話すうちに「案内してほしい」とリクエストをいただき、一緒におすすめの飲茶や食材の買い物をするなど、横浜中華街ツアーも数回実施しました。
料理教室も何度か行いましたが、今は休止しています。最近では、「美肌と身体」や「感情と身体の関係」などをテーマに、オンラインセミナーを開催しました。また対面でできる機会があれば、いつか再開したいなと考えています。
◆2軸の仕事の両立で、大切にしていることは?
薬膳とファッション。どちらも大切にしていることが「バランス」と「取り入れやすさ」をお伝えすることです。
例えば、今持っている洋服や小物はその方の歴史。今のお客さまのバランスを見ながら、着こなしや組み合わせで理想に近づければ、実は新しいアイテムはそれほど必要ありません。
薬膳のほうも、3種類ほどのスーパーで買える材料で、少ない手順にすれば、その日のうちに作ってみたい!と気楽に感じられるはずです。
この想いに共感して下さるお客さまから「組み合わせや着こなしで新鮮に着られます」「スーパーの食材で薬膳が作れるなんて嬉しいです」などのお声をいただくことが最大の喜びです。
◆起業して3年。新たにやりたいことができました
起業当初は、慣れないSNS発信やサービスメニューの作成などやることが山積み。仕事とプライベートの線引きも上手くできず、特に気持ちの切り替えに苦労しました。また、頑張っても思うようにお申込みが入らず、養成講座の同期と自分を比較し、涙を流すほど辛かった時期もあります。
傍で見ていた夫に「大丈夫?無理しないでマイペースでいいじゃない」と何度慰められたか分かりません。辛い時期を経て、コロナ禍で時間が空いた時にふと「本当に大切にしたいことや理想の暮らしは何か?」と改めて考えてみました。
その結果、日々の暮らしを大切にし、お仕事はほどほどにしようと決め、現在はご新規さまの受付は停止し、リピーターさまとご紹介の方のみサービスをご提供しています。
そして、ファッションと中医学の2本立てで活動を開始して、早3年。今年に入り、また新たな夢が自分の中から見つかりました。この夢に向かうため、今後はさらにお仕事のペースをゆるめる予定です。
実は6年前に退職したとき、やりたいことや夢はありませんでした。今の自分のファッションを見つめ直し、外見をどうしたいかを考え続けたことで、本心に気づくことができたのだと思います。
今自信が持てなかったり、やりたいことが見つからなかったら、ぜひ、「着たい!」「これ好き!」と思うファッションを探してみてください。それを着てどこに行きたいのか、何をしたいのか、じっくり考えてみると少しずつ本音が見えてくる筈です。
今思うと、ファッションや中医学は単なるきっかけに過ぎません。まずは、何かにチャレンジして、それがきっかけとなり、トライアンドエラーを繰り返しながらも、本当の夢が見えてくる気がします。
約4か月間、お読みいただきありがとうございました!
●やくぜんもとこさん連載 50歳からのセカンドキャリア
vol.1「過労で体調を崩し、48歳で早期退職した当時のこと」
vol.2「薬膳を学ぶきっかけと、国際中医師試験に合格するまでの道のり」vol.3「48歳でスタイリストを志し、本格的にファッションを学ぶ。」