フランスのお惣菜パンといえば、パリの物価指標となるハムとバターで作る「サンドイッチ パリジャン」。でも最近は、ヘルシー志向の高まりや他国の影響もあり、さまざまなお惣菜パンが出現中なんです。
プランタン百貨店にある『カフェ ジュール』では仏式ホットドック〟が人気です。パンにソーセージが挟んであるところまでは普通ですが、ジュール パリジャンでは、揚げ玉ねぎとみじん切りのピクルスソースがかかっているのがポイントです。ほかにも、唐辛子入りパンを使った〝バスク〟など、さまざまなフランスの味が楽しめます。
さらに、ホットドッグだけでなく、具材が魚だけの〝お魚バーガー〟や、ピザをロール型にしたピザロールなども登場しており、パリの食通たちから注目を集めています。
また、フランスでは日常的に食べられているバケットも、他の具材と合わせるだけで即席お惣菜パンとして大活躍します。
朝ごはんにはバゲットを縦半分にカットし、バターとコンフィチュールを塗ったタルティーヌとして。大人子供を問わず人気のチョコレート風ペースト、ヌテラをたっぷり塗る人も。
夕方になれば、フランスの大切な習慣であるアペロ(食前酒)のお供として、鴨パテや豚のリエットなどをのせておつまみパンに変身します。
保守的で流行にあまり興味を持たないフランス人ですが、最近新しいヴィノワズリーとして人気が高まっているのが、バブカです。
バブカは、バター風味豊かな生地にチョコレートをたっぷり練りこんだパンで、もとはユダヤ文化発祥の食パン型のもので、おもに東欧で作られていました。
NYで火がつき、パリでもじわじわと注目されています。一年の消費量が7㎏以上とも言われるチョコレー ト大国のフランスだけに、思わず心を奪われてしまった人が多いのかもしれません。
『ku:nel』2019年11月号掲載
写真 Yas/コーディネート・文 井筒麻三子/編集 今井 恵