最近、よく耳にする「フェムテック」という言葉の意味をご存知ですか? 実は、女性なら誰もが関係のあること。女性のウェルネス課題の解決・支援事業を行うfermata(フェルマータ)株式会社共同創業者 CCOの中村寛子さんにフェムテックについて伺いました。後編は、デリケートゾーンのケアについてです。
前編→「フェムテック」て何ですか? 生理、更年期、身体のこと。悩んでいるのは私だけじゃない
ーー顔のスキンケアと同じで大切なのですね。デリケートゾーンのケアは余裕があったらすればいいくらいに思ってました。
閉経が近づいたり、閉経を迎えた方の中には、デリケートゾーンが乾燥したり、かゆみが出てしまう方がいらっしゃいます。
ーー デリケートゾーンケアを始めたいと思う一方で、今まで何もしていなかったパーツを特別なアイテムで洗ったり、保湿したりすることを躊躇する方もいると思います。どのようにするとライフスタイルに取り入れやすいですか?
母にデリケートゾーンのアイテムをプレゼントしたことがあるのですが、やはり「面倒くさい」と言われました。でも、他のアイテムと同じように、泡で出てくるものがいいなとか、好きな香りのものを探したり、様々な種類が出ていますので、まずは1週間試してみてと言って使ってもらいました。
ーー なるほど!
私は面倒くさがり屋なので、洗顔フォームと分けないで、泡で出てくるタイプでそのまま洗っています。
『疼くひと』(松井久子・著|中央公論新社)という小説も紹介させてください。70代の女性と50代の男性の恋愛小説なのですが、ストーリーの中のあるシーンの影響で、この『疼くひと』を読んだ後、デリケートゾーンケアを始める方が多いとか。それくらいデリケートゾーンについては話がされていないことですし、多くの方が「自分だけの悩みではないんだ」と気付くきっかけにもなっていると思います。
ーー フェムテックを通して、新たな発見や知識が増えるのも面白いですね。
私たち自身もたくさんの学びがあります。2021年に銀座でポップアップショップを開催しました。場所柄、60〜70代のお客様も多く、尿漏れ用に吸水ショーツを買いに来る方が多くいらっしゃいました。
吸水ショーツは、実は新しいものではなく、以前から製品が出ています。にもかかわらず、お客さまはこれまで使ってこなかったと言います。理由を尋ねると、「歳を重ねてもおしゃれを楽しみたいので、ベージュではなく、ブラックのレースのきれいなデザイン等、“自分もテンションが上がるショーツが欲しかった。これまではそういったデザインのものがなかったから”」と、おっしゃる方が多かったです。
ーー 年齢を重ねることで、下着デザインの選択肢に制限がかかるのは抵抗を感じますよね。
おばあさまとお母様、お孫さんの3世代で来店して、同じショーツを買っていくなんてこともありました。おばあさまは尿漏れ用、お母さんとお孫さんは生理用です。70代のおばあさまを筆頭に3世代で同じショーツを楽しそうに選んでいる姿は素敵だなと感じました。
ーー フェルマータで取り扱う製品は、どんな基準で選んでいるのですか?
弊社のビジョンに合っているかどうかが一番大事なポイントです。「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」を会社として掲げていますが、実際にその商品を使ってワクワクするか、自分の価値観が変容されるかどうかを第一に考えたいと思っています。
必ずfermataメンバーが使うようにしており、製品の良い点・改善すべき点をチーム内でシェアした上で、最終的に取り扱うかどうかを決めています。
また、本当に良いものをお届けするために、ブランド創設時や会社の創業時のストーリーというものを重視しています。創業者自身が課題をどのように感じて、その製品やブランドを作ったのか、そのストーリーや価値観を紹介したいと思えるものだけを取り扱うようにしています。
ーー お客様が製品を選ぶときのポイントとしてはデザインが多いですか?
まずは当然ですが、機能性です。その次に、デザインや素材、ストーリーで選ぶ方が多いですね。
日本のブランド『Period.』の吸水ショーツには、それを履いて漏れてしまう場合には、「一度婦人科に行ってみて」という、新しい物差しにしてほしいというメッセージがあったりします。
ーー 面白いですね!言語化が進み、まだ更年期を迎えていない人が、将来更年期を迎えるまでに、もう少し良い未来になりそうだと思いました。
そうですよね。ただ、課題が言語化されることはいいことですが、一方で全員がオープンに話すべきかどうかというと、実は話さなくてもいいと思っています。オープンに話したいか、話したくないかはその人たちの自由だと思っています。話したいと思った方たちがどこかで話せる機会を設けることは大事だと思いますし、逆に自分のことは開示したくないけれど情報を得たいという人たちが頼れる場所を作ったり、多様なニーズに応えられる場所を提供できるかが大事ではないかとは思います。
FERMATA STORE IN NEW STAND TOKYO
fermataが運営する、日本初のFemtech専門の路面店。実際にフェムテック製品を見て、購入できる。吸水ショーツは全7ブランド19種類、月経カップは全4ブランドが揃う。
住:東京都港区六本木7丁目2番8号 WHEREVER 1F
営:12:00-19:00
※1/28(金)から当面の間、12:00-17:00の短縮営業
休:火土
https://hellofermata.com/pages/fermata-store-in-new-stand-tokyo