コロナ禍の折、新しい家族として猫の「オスカル」を迎えた、 名津井さん。元々、お部屋は「クラシカルホテル」をイメージしたインテリアに囲まれていました。活発な愛猫との生活に合わせて、お部屋のアイテムや置き方にも変化があったそうです。
→前編からの続きです。
「とにかく動きが敏捷であらゆる場所に飛び乗るんです。何個か器を割られたので、大事なものは扉のついた収納や猫が登らない所に移動させました」
棚の上に飾っていた写真立てやガラスのキャンドルスタンド、花瓶やグラスは棚の中に、大事なウェッジウッドのジャスパーコレクションはトイレの棚に一時避難。さらにテーブルの脚で爪研ぎをされないよう布を巻いたり、猫がかじりそうなものを片づけました。
「どれだけ物が多い部屋だったんでしょうね。出しっ放し、置きっ放しは厳禁なので、片づけグセがつき、物が多いのは相変わらずですが、多少なりと部屋はすっきりしました」
猫がいるからとインテリアを諦める人もいますが、名津井さんは何とか猫も人間も心地よく過ごせるよう、あれこれ工夫。そして猫がきっかけで、思いがけないインテリアの更新も。
「オスカルがついにカーテンを破いたんです。カーテンは高いし、意外と大仕事だからと躊躇していたんですが、それがきっかけで新調しようと重い腰があがりました」
選んだのはポルトガルのファブリックブランド「ALDECO」の生地。
「日本のカーテンみたいにひだを作らず、布をフラットなまま使うのが素敵で。取り外しもとても楽。長さもヨーロッパ風に、床でもたつくよう、長めにゆったりさせました。ここ数年ヨーロッパではベルベット素材がトレンドなのですが、意外と猫の毛がつかない素材だと作ってから驚きました」
選んだ色は深みのあるパープル。10年ぶりにカーテンを変えたら、面積が広いパーツだけに、部屋がより目指しているクラシカルな雰囲気に。
「あまりに気に入って、私の店でこのブランドのカーテンのオーダーを受けられるようにしたいと思っています」
猫との共同生活を約半年経て、暮らしは大きく変化したのでしょうか。
「長毛種なので毎朝20分ブラッシングをしたり、廊下がケージで狭くなったり、手間や不便も増えました。朝も早くから起こされますが、早寝早起きで健康的になりました。また毛がつくので、黒一辺倒だった私のワードローブに明るい色の服が増えたのもうれしい発見です。猫を飼うことで癒され、幸せな気持ちになる一方で、ひとつの命を預かったのも事実。何事もオスカルファーストで、彼がいつも幸せでいるよう大切に育てようと思います」
猫が来て、買ったもの
猫ファーストの暮らしではありながらも、インテリアに妥協はしたくない。外出制限中だったので、ネットで同じタイプの商品を見比べ、猫を飼っている友人に相談したり、どこに置くか考え、サイズをしっかり測った。
『ku:nel』2021年1月号掲載
写真 柳原久子 / 取材・文 今井 恵
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